金曜日の放課後。
久しぶりに桃香と帰る。
金曜日の彼氏…
野々宮 彗。
家が隣り同士で小さい頃から一緒にいる幼なじみ。桃香も中学から一緒だから、私と彗が付き合うことになった時驚いていた。
彗は中学に入ってからあまり喋らなくなった。
いつもイヤホンをして、外の景色を眺めてた。
でも、友達は普通にいるみたいだし、女子からも何回か告白されてたみたい。
昔は一緒に遊んでたけど、今は会話すら少ない。
だから、高校で彗に告白された時は本当にびっくりした。全然気づかなかったから。
母:「お帰りぃ。あ、そうだわ!まゆ、お願いがあるんだけど」
母:「今日ね、野々宮さん夜勤だって聞いたから彗くんに煮物渡してきてくれない?」
彗の両親は病院で働いていて家に帰って来れない日が多い。だから、よくお母さんが彗のために夕飯を作って渡している。
彗の家のインターホンを押す。
どうしよう。
彗の家久しぶりに入る。
それに、久しぶりに彗と話したかも。
こんなに緊張してるのは私だけ?
彗は…何を考えてるのかな?
ノートを持ってきた私は返事がなかったから、彗の部屋へ来てみた。
返事なし。勝手に入っても大丈夫かな。
そぉっとドアを開ける。
イスに座っている彗がいた。
イヤホンをしているってことは、私の声が聞こえてないのかな?
待ちながら部屋を見渡す。
青を基調とした部屋。壁にはいくつかポスターが貼られている。
好きなアーティストさん…なのかな?
片方のイヤホンを貸してもらう。
よかった。
昔みたいに話せてる。あんなに緊張してたのに、今はなんともないや。
幼なじみだから他の人とは違って話しやすいし、気を使わなくていいところもある。
彼氏っぽくはないけど隣りにいて安心する。
<ドタンッ>
床に押し倒された。
彗の顔がすぐ近くにある。
吸い込まれそうなくらい、まっすぐな瞳。
こんなに近くで顔を見るのは初めてだ。
彗って、こんなにカッコいい顔してたんだ…。
久しぶりに呼んでくれた、私の名前。
ゆっくり起き上がる。
彗は、私のことが本当に好きなんだ。
顔には出ていないけど、幼なじみの私には分かる。照れたら耳が赤くなる。
彗の家から出る。
あの時、私の顔真っ赤だったと思う。
今だって、顔が熱い。
1週間が終わった曜日彼氏。
これからどうなっていくのでしょうか。
ドキドキな曜日彼氏が来週もやってくる。
私に恋心は芽生えるのかな?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。