11月 中旬
ー木曜日の練習にてー
あざした!
幸と同部屋の俺は、本当にひっさしぶりのオフをどう過ごそうか悩んでいた。
ライン!
さくら
【あなたくん、オフとかいつあるか分かるー?私、あなたくんに会いに行きたいなぁーって...】
俺の心臓が急にドクドクと跳ね始めた。
俺は直ぐに返信した。
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ファミレスで期末考査に向けて勉強をしていたところ、かっきーが「会いに行きなよ!」と押してきて緊張しながらもLINEを送った。
ブー
あなた
【今週の土曜の昼から日曜オフになった!あとは年末帰るかな!】
【俺も会いたい。】
急遽だけど、私は日曜日、あなたくんと会いに行くことにした。
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9:50 a.m.
さくらが会いにこっちまで来てくれる。俺は駅に迎えに行った。
ビデオ電話するにも大会でもいつもスポーツの服だから今日ぐらい私服に着替えた。
ただ、まだ髪が足りなかった。短髪の幸にセットしてもらってちょっとだけ気分がいい。笑
目標だったマッシュにもあとちょっと...!
俺を見つけたさくらは小走りで来て俺に軽く抱きついた。
それでなんだかんだ午後の4時までデートして、ちょっと古びた公園でベンチに腰を下ろした。
沈黙が続く。
こういう時は俺が話題作らないと...!
少し離れた距離を手を繋いで俺から埋める。
俺は、さくらにキスをした。
そしてもう一度さくらにキスをした。
5時前なのに肌寒い季節だが、俺たちは少しでも暖かくなるようにしっかり手を繋いで駅まで向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!