………と、思い出しましたよ。女神様。だけどね………
何で転生先が悪役令嬢なんですか…………!!!
そう。私の前世、花本 美月が転生したのは、私、マリア・レティシス。
『華のような君へ』略して『華君』の悪役令嬢………
女神様ぁ…………
聞こえてるからね…………
そうして、メイド達と執事達、お母様、お父様は、私の部屋から出ていった。
私は、マリア・レティシス………我儘な公爵令嬢。そして、『華君』の悪役令嬢………その末は、国外追放orタヒ亡or処刑or投獄…………
うん、ちょっと落ち着こう。ゲームが始まるのは13歳。つまり、中1から。
まだ8才。五年間で目立たないように良い子にしてたら………そして、ヒロインを虐めなければ大丈夫!
その第一歩に………
メイドに執事、お母様にお父様が部屋に入ってくる。
そして、私は、そっと正座し………
土下座した。
こうして、私が記憶を取り戻した日は終わった。
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よし。頭を整理しよう。
マリア・レティシスは、『華君』の悪役令嬢。国外追放orタヒ亡or処刑or投獄。
昨日、こけて運悪く岩に頭を打ち付け、その際記憶を取り戻した。
あらゆるルートでヒロインの邪魔をし、断罪される。
この国、クライト王国の王子、ジルアール・クライトルートでは、ハッピーエンドの場合は断罪され投獄。バッドエンドでは、ヒロインと崖でもみ合いになり崖から落ちタヒ亡。ヒロインとジルアールは結ばれず。
そして、マリアの義弟の、ウィル・レティシスルートの場合は、ハッピーエンドは同じく投獄。バッドエンドは義弟を取られたような複雑な心境からヒロインが寝ている間にヒロインを殺そうとし、ウィルに見つかり断罪され処刑。ヒロインとウィルは結ばれず。
レティシス家の執事の子供、フェルエス・アリアルートの場合はハッピーエンドは断罪され国外追放、バッドエンドは断罪され投獄。ヒロインとフェルエスは結ばれず。
そして最後に、ヒロインと同じ平民出のスカールートの場合は、ハッピーエンドでは犯罪スレスレの嫌がらせをしていたマリアが断罪され投獄、バッドエンドではマリアが気に入っていたというスカーを取られたと崖でもみ合いタヒ亡、つまり、ジルアールルートと同じ。ヒロインとスカーは結ばれず。
と、言うように………
ん?そう言えば………マリアの義弟、ウィル………
どうしよ………強制が働いて、姉ちゃんなんて大っ嫌い!なんて言われたら………
考えただけで無理………
と言うか、ウィルは、目の色で差別され、信用していたご両親が他界してしまって、うちに引き取られて、そこでマリアに意地悪をされ、心を完全に閉ざしてしまったところをヒロインが救い出す……って感じだったわね………
それじゃ、意地悪せずにとことん甘やかせば良いじゃない!
うんうん、それでいきましょ!
~~一年後~~
今日はついに義弟が来る日………の、はず!
コンコン
知ってるけど………知らない振りをする。
中身20歳の大人が子供の振りするってちょっときついんだよね………
俯いた少年が入ってきた。
ウィルが言ったとたん、ウィルをぎゅうっと抱き締める。
お母様とお父様は微笑ましそうに見ている。
そういうと、ウィルは泣き出してしまった。
その後、しばらくウィルは泣き続け、そのまま泣き疲れて眠ってしまった。
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ちょっと長かった?
もう息ピッタリだね。
美しき姉弟愛………
では、ありがとうございました!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。