うん、こりゃ………
ボソッと呟く。
よし………私の決意表明をしておこう……!
今まで噂をしていた住民達の肩がビクッと跳ね上がった。
住民の皆さんは、目をパチパチと瞬かせ、ポカンとしている。
私は、居たたまれなくてその場から逃げ出した。しかし、しばらく走った後に……
という声が聞こえた。
ぐるりと周囲を見回すと、地面に倒れてこちらに手を伸ばしている少年が居た。
この世界では、あまり医療が発展してないので、薬を買うお金がなく、風邪を拗らせて……タヒんでしまう事も少なくはないそうだ。最近は、『熱病』という病気が流行っていて、すぐに体を冷やさないとタヒんでしまう………という病気らしい。この少年は、恐らくその『熱病』にかかっているのだろう。
私は、魔法で氷を作り、服の裾をビリッと破き、氷の器に入れた水に浸した。
ちなみに、魔法は記憶を取り戻してから習得した。
そして、水に浸した服の裾だった布を少年のおでこにあてる。
氷魔法を駆使し、辺りを冷やす。
さっきまで辛そうに歪んでいた少年の顔は、いつの間にか穏やかな寝顔に変わっていた。
氷魔法を解き、少年を持ち上げる。
これでも、もしもの時のため……まあ、主にタヒ亡フラグとかのために鍛えてるから、ほっそい少年を運ぶ位は楽なもんですよ。
………そして、家に帰り、皆にこっぴどく叱られたのは言うまでもない………
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。