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第3話

分からないから分からない

「レインボーローズ」と名乗る可愛らしい鳥が鳴いている空間に沈黙が続く。今隣にいる宮舘と言う男は何かを言いたげな顔をしているが、何も発さないので俺もなるべく触れないようにしている。俺は今どのような顔をしているのだろうか、感情だけでは表情までは読み取れない。オマケに感情は歓喜と苦痛が入り混ざってよく分からない。これを1つ表すとするのならば「混沌」だろう。厨二病っぽいが、俺もそういう時期だから全て許して欲しい。

「ねぇ、翔太はなんであんなストーリーをあげたの?自分から振ったくせに」

遂に隣の男は声を出す。少しこのときを待っていた。だが返答しにくい言葉に、伝えなければならない言葉が喉に詰まってしまう。思わず整えたばかりの眉を顰めてしまう。その仕草は彼に不快感を与えたのか、彼は分厚い下唇をキュッと噛み下の方へ目を向けた。

「ふっかがあなたの彼氏になったからもうどうでも良くなった訳?それじゃ流石にあなたが可哀想だよ」

優しい彼はそう彼女を心配し、俺を咎める。可哀想な事ぐらい俺が一番分かっている。だけど、それ以上を言いたかったが語彙力の無い俺には何も言う言葉がなかった。その様子に彼は悔しむ事を超えて呆れている。

「なに、黙ってればどうにかなると思ってるの?翔太は結局何がしたいの?それを聞いてるだけ。何も難しくないよ」

「、俺だって別に振りたくて振った訳じゃないし。そんなに彼奴がふっかの事…」

そう呟けば隣の男は悲しげに微笑む。儚くて、直ぐにでも消えてしまいそうな笑い方。その笑顔を最後に、俺は深い眠りに落ちた。

「あのさぁ、ふっかはさ。あなたちゃんの事どう思ってるの?何だと思ってるの?」

隣の男から話し掛けられる。先程まで本を読んでたのに俺が何かをする隙を見て声を出した。ここまで心がグチャグチャで話し掛けられたくなかったので常に何かしらしていたが隣の男には隙がバレてしまう。流石とでも言うところであろう。何だと思ってるって言われても、恋人だとしか言えない。とでも伝えると呆れて「そうじゃないでしょ」なんて俺の大嫌いな「先生」みたいな事を言ってくる。そして俺の図星をつついてくる。

「本当に心の底からあなたちゃんの事が好きなの?ていうかあなたちゃんは翔太の事が好きだとか思ってるんじゃない?」

その通りだった。俺は大好きな彼女と恋人同士になれて正直嬉しい。こんなに嬉しい事があって良いのかとか思っているが、内心は違った。彼女は俺の事、見ていない。いつか心の隅で翔太を求めている様な気がする。つい最近だとインスタのストーリーの時だ。敢えて目を逸らさず言ったんだ、きっと。俺にバレたくなくて。こんなに愛想つかされてる俺が情けなくてしょうがない。黙り込むと悩んでいる原因を作った張本人、阿部が声を掛ける。

「ごめんね、そんな顔させるつもりはなかった。ただふっかがあなたちゃんの事で自分よりあなたちゃんの事を優先しているとしたら、それは違うんじゃないのって伝えたかっただけなんだよね。」

少ししゅんとした顔で彼は伝える。俺もそんな顔させるつもり無かったのに。そして確かに俺は自分のことよりあなたちゃんを優先している。彼女と別れたくなくて、俺だけが求めているのが少し寂しくて、だから身寄りの無い時に漬け込んでここまで持ってきた。離れたくない、その一心で。

「ごめんね、今あったことは無かったことにして。じゃあ頑張ってね。」

閉じていた本を手に持ち彼はこの空間から去っていった。一人で居るには十分広い部屋だ。