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第2話

例えるなら海苔のような

先程の画面が目の裏にまで焼き付いて私から離れない。これを深澤は見たのだろうか、きっとフォロワーだから、見たのかもしれない。そうあなたの不安は、止まなかった。あまりの不安に頭痛が催してくる感じだ。私は今すぐ綺麗に畳んだ布団を戻し、毛布に身を委ねそっと瞳を閉じた。目から少し涙が出た気もしたが、それはきっとあなたの気のせいだろう。

「あなたちゃ〜ん!よく寝たねぇ…流石のふっかさんでもあなたちゃんの爆睡ぶりには逆らえなかったw早く起きて、もう晩御飯の時間だよ。今日は特別に俺の奢りでオススメのラーメン屋に連れてってあげるから!ほら!」

そう言って私の布団を剥がそうと必死だ。深澤は態度の割にやせ細っていて力もあまり無い。(力の強めな私より少し弱いぐらい)まぁ可哀想だと勝手に同情し、布団に入れる力を弱めた。すると何が起きるかわかるだろう。深澤は壁にぴょんと吹っ飛んでしまった。これには流石の深澤でも予想出来なかった展開で目を丸めている。

「え、何、痛…この布団怖いんだけど。」

するとガチトーンの声が出て流石の私でも冷や汗をかいてしまった。いつも元気な深澤だからこそ、このテンションになると怖くてしょうがない。ふといつかの学校の先輩、阿部を思い出した。彼も普段温厚だからこそ怒り狂った時が恐怖でしか無かった。あの景色は散々なものだった覚えしかない。でも流石に自己意識の高い深澤だからその一言を告げたっきりいつものにこやかな笑顔に戻りさ、行こ!と私の手を引っ張る。こういう所なんだな、と心底思いその手に答えた。

暫く歩くといつものラーメン屋さんが見えてくる。付き合い始めてからここの店にはお世話にしかなってない。最近店長さんともLINEを交換したばっかりだ。フレンドリーな深澤と一緒に居るのもあるけど、それ以上に人懐っこい店長さんだからこそのものなんだろうなと感じる。店長さんと彼は高校生からの同級生らしくて、いつも仲良さそうにしている。(深澤が弄られて居るだけだが)やはり深澤と同じ美形だが、深澤と違うタイプというか。身長も関係しているのだろうか、すごい可愛らしい男。でもアニメオタクと名乗っていてよくアニメの話をされるがよく分からない。深澤はまぁいつも通りみたいな感じで聞いているが私はまだ慣れない。

襖を破ると店長さんの通る声が店内に響く。そんな店長さんの様子に「あ、いつもの2人だよ」とか深澤は落ち着いて言っている。なんかそんなこと言われたらこっちまで照れ臭くなる。やはりそういう所なのだろう、彼のモテる所は。そんなこと思っていると席に付き深澤がラーメンを頼んでいる。私のは言わなくても通じたらしい。勝手に頼んでくれていて。深澤を付き合っているところを何故か再確認出来た。

ラーメンが届くまで無言でいると深澤が話しかけて来る。これもいつも通り。だが今日は違って「インスタ開いた?」って。私は思わずドキってして目を逸らしそうになるが、逸らしてしまえばバレるので敢えて深澤の目を逸らさずに一言。見てないと。そう言えばあ、そっか。と私ぐらいにしか分からないであろう、ホッと落ち着いた顔になる。その顔を見ていると罪悪感で頭が可笑しくなりそうになるが、空腹感で何とか誤魔化した。

そうしてモヤモヤした気持ちになっていたらラーメンが運ばれてくる。いつもと同じ醤油ラーメン。チャーシューとのりが2枚入っていて味たまが半分に切られて1つ。メンマの数はもう数えられなかった。葱は今日は多かった。きっとあの店長さんが作ったのだろう。暖かい煙は今の私の心情を表したかの様で少し不快感を感じたがラーメンのいい香りがし、そんな事はどうでも良くなってしまった。その香りにつられるがまま、ラーメンを綺麗に啜った。隣の深澤はレンゲを使って食べている。彼は少食だから、少し小さめの。これじゃ私が食べ過ぎみたいだけどきっと深澤が食べなさすぎだから、と言う事にしておこう。

そんなことを考えていると「おいしいね」って優しい笑顔で話しかける。軽く相槌をして返す。美味しいのは当然だ。深澤はこれを毎回やっている。普段なら面白いとでも表現するが、今日は何故か愛おしいとも思えてきた。そんな他愛のないことを考えていると段々気分が良くなり、炒飯まで追加で頼んでしまった。当の深澤からは「えー、あなたちゃんすごいね。俺そんなに食べれないよー」と甘ったれた事を言っている。全く、私は大食いタレントか、という気持ちになる。やはり彼は食べなさすぎだ。だからそんなに薄っぺらいんだよとでも言いたかったが麺がテンポ良く喉に詰まり言葉は塞がれた。


2人とも食べ終え、会計をする。小銭を出そうとすると深澤は「いいよいいよ、これぐらい。俺が払うって。」と言った。私の食べ物の値段が殆どなのに。でも素直にかっこいい。ありがとう。と感謝をすると少しはにかみ微笑んでいた。少し頬が赤くなっている。それで会話を終えようと思ったが深澤は一言述べる。


「俺の金で食べるラーメンが1番美味しいからね。」

彼の財布からは1500円が失われていた。