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第1話

『 〜three heart〜 』前半
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2019/05/15 13:52
☆0☆





『友情』って…何だろう?
『好き』って…何だろう?






『愛』って…













ホント…何なんだろう?







☆1☆


新「私…侑李くんと…付き合う事になったの。」


それは…
現実で起こる…
悪夢の始まりだった。


〇「え……?」

新「ゴメンね…」


私の恋のキューピッド役を勝って出た親友。

ミイラ取りが、ミイラに取られてしまったのだ。

許せる?
許せない?

それは、今後の人生次第だ。
今すぐ答えが出る問題ではない。

ただ、今は親友とは思えない。

親友が幸せになったのは、喜ばしい事なのに…






☆2☆


侑「〇〇〜!おはよっ!」



侑李くんは、私の気持ちを知らない。
だから、普通に接してくる。


彼女の親友だと思ってか…


侑「どうしたの?元気ないじゃん?」

〇「ゴメン…ほっといて…」



泣いちゃうから…


私は侑李くんから離れたくて、ふたりと一緒に居たくなくて、学校まで走った。

今まで、「侑李くんから離れたい」なんて思った事もなかったから、『好き』という想いが動揺してる。



ホントは…少しでも傍に居たいのに…








☆3☆

こんな自分を隠そうと、本を読んでるフリをしていた。

今は周りの人に触れて欲しくはない。



雄「失恋でもしたのか?」


ぶっきらぼうに聞いてきたのは後ろの席の…


〇「関係ないでしょ!?」


高木雄也。


雄「その返し方、はいそうですって言ってるぞ。」

〇「はぁ?もぉ、ほっといて!」

雄「はいはい。ひとつだけアドバイス。頭 逆さにすると、上手く読めるんじゃないか?!」


頭 逆さ?
何言ってんの?
バカじゃないの…


あ…


開いてた本が、逆さまだった。



バカは私だ…






☆4☆


授業も上の空…

一応、ノートだけは取るけど…
黒板 丸写し。

ん?あれ?
消しゴム…どこだ?
落としたかなぁ…

床をキョロキョロ探しても無い。
どこいったんだろう?

あ"ーーーッ!もぉッ!ついてない!!!


雄「コレか?」

〇「えっ!な、何で持ってんのよ!」

雄「なんだよ、拾ってやったのにッ!」

〇「だから!もぉ、ほっといてっ!」


「こらぁ!静かにしろ!」


もぉ!怒られちゃったじゃん!!!


雄「お前、小学生みたいな事してんじゃねーよ。」


見られた!
よりによって、雄也なんかに!


でも…
今どき、こんな事してる人 居ないか…

もうやめよう。

私は消しゴムカバーに隠されていた名前を、塗りつぶした。






☆5☆


理科とか音楽とか…
移動しなきゃならない授業がイヤだ。

私がトボトボと廊下を歩いていると、


新「〇〇、ゆっくり歩いてたら遅れるよ!」


と、少し離れた前方から振り返り、手招きしながら言う…

『親友』だと、まだ思ってるの?

そうやって、侑李くんと肩を並べて歩きながら言うくせに…
見せ付けてる事さえも気付かないくせに…


こんなの酷だよ…


もぅ耐えられず、振り返り教室へ戻ろうとした。

ドスっ!!!痛っ…

真後ろにいた人にぶつかり、教科書も筆記用具も全て撒き散らし、尻餅をついてしまった。


雄「…大丈夫か?」


・・・てか…
なんでいつも 雄也なの!!!

ムシャクシャしていた私は、今にも殴りかかりそうな勢いで…


〇「なんでいつも傍にいるのよッ!雄也とは関わりたくないって言ってんでしょ!近寄らないで!」



えっ!……//
どう…なっ…てるの//………?





風が流れた…






☆6☆


力強く…
でも痛くはないほどで…


私はグイグイ 引っ張られていた。


見る見るうちに景色が飛んでいく。

繋がれた手の先には、夢中で走る………


雄也。


こんなに背中…大っきかったんだ…


気づくと誰もいない並木道まできていて…
そこで パッ!と手を離された。

ハァ…ハァ…ハァ………

結構な勢いで こんな距離を走った私達は、
息が整うまで、しばらく何も言えなかった。



雄「…見てらんねぇんだよ…………」



え…なんなの?



雄「お前が…辛い場所なんて…いらない」



私…
関わりたくないって、言ってるのに…



どうして?
どうしてなの………?


優しくなんて…
しないでよ…



〇「…バカじゃないの………」






☆7☆


私と雄也と侑李くんは…

幼い頃はよく一緒に遊んでいた。





侑「い〜ち、に〜い、さ〜ん………」


オニが数え出すと、いっつも、


雄「〇〇!一緒に隠れるぞッ!」


っと、私が「うん!」って言う前に走り出す。
いっつも手を繋いで連れて行ってくれる。

私は幼いながらも、そんな雄也に恋をしていた。

ある時…私がオニで、ふたりを探していたら…
物陰から侑李くんと雄也の話し声が聞こえてきた。


侑「〇〇のコト好きだろ?」

雄「えッ!なッ、なーに言ってんだよ!ちげーよ!
  〇〇は、ちっこいし、妹みたいだし…ちげーよ!
  侑李って、バカじゃねーの!お前こそ好きなんじゃねーの?
  ちっこい同士だし、お似合いじゃねーの!」


雄也が、畳み掛けるように発した言葉達は…


幼い私の心を攻撃していった。


泣いてた私を侑李くんが見つけて、
隠れんぼは終わった。






☆8☆


でも私が今、雄也と関わりたくないワケは…
そんな、幼い頃の失恋ではない。

中学になった私達は、相変わらず仲良しで…

身体検査から戻ってきた侑李くんに、私と話してた女の子が「背伸びた?」と聞いた。


侑「うん!たくさん伸びてたよ!」

女「でもまだ、〇〇と同じくらいかなぁ〜?」


と、その女の子は侑李くんを そそのかせ、私を立たせた。


〇「ホント?私と同じくらい?」

侑「や、〇〇より高いよ!ほらっ!」


と、私は侑李くんと背中を合わせた。

その瞬間…
背中から侑李くんの温かさと、何かが伝わった…

ホントだ…
侑李くん…

いつの間に、私より大きくなってたの?

それは、今までの感覚では無かった。
そこには、『友達』では済まない想いが芽生えていたんだ。

































これが…



『好き』………………………………なんだ…







☆9☆


私はずっと、侑李くんを『好き』なコトを隠しながら過ごしてきた。

私達3人が仲良しだったのは、この頃まで。

いつしか、それぞれの部活などで新しい友達や生活ができ、行動を一緒にする事が無くなっていた。

そしてある日、気付いた。
雄也が侑李くんを避けているコトを…

私は、見て見ぬ振りをして…
ずっと ふたりを見ていた。





雄「また一緒だな。」


高校生になり、また同じクラスで、
「〇〇とは腐れ縁かな〜」なんてニヤついてる雄也。

見て見ぬフリをしてきたけど…
フリって、なんかダメかな…

そう思った私は、思い切って聞いてみた。


〇「侑李くんは?」

雄「えっ?」

〇「侑李くんも同じ………腐れ縁でしょ?」


3人はもう、仲良しでは無いの?
違う友達が出来たからって…
嫌いになっちゃうの?

私の中にあった、ずっと感じてた淋しさ…

雄也と侑李くんを、私はずっと…









『好き』でいたい。





☆10☆


その日から私は、雄也に冷たく当たり、避けるようになった。



でも、高校生活は、毎日楽しかった。
クラスに親友ができたから!


新「侑李くんに告らないの?」

〇「私…もう知ってるの。侑李くんの気持ち。」

新「え?どういうこと?」



私が雄也を避けるようになったあの日。
雄也の口から出た言葉。


雄「侑李が他の奴に言ったんだ…俺がいるところで。〇〇のことなんて好きじゃないって…」

〇「えっ…………」


どうして?
私…悪いことした?


それに…











想いも伝えてないのに…











終わっちゃったの?
私の恋。





〇「…ゆ、侑李くんが…そんなこと言うワケないじゃん…」





私は受け入れられなかったんだ。






こんな風に、恋が…

終わってしまうコトを。




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