先輩たちの最後の大会はおわった。
学校に帰って部室で挨拶があった。
一年生から挨拶をしていった。
感謝の言葉を伝える。
あっという間に私の番は来てしまった。
そういうと、サラ先輩は頭を撫でてくれた。
そのあとサラ先輩、3年生が挨拶をしていった。
カイト先輩は最後に喋った。
そうなんだ… カイト先輩、走るのやめるんだ…
わたしもそう思ってました。
その言葉は先輩たちはわかったみたいだったけど
私にはまったくわからなかった。
サラ先輩がカイト先輩の背中を叩きながらそう言った。
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帰り道。カイト先輩にそう言われた。
こうやって一緒に帰るのも最初で最後だと思う。
今日は偶々。
先輩がわたしの家の方向に用があるらしい。
聞いてはいけない気もしたけど聞いてしまった。
もう話せる機会もなくなるし、、、
頭を殴られた気分だった。やっぱり先輩はサクラさんだ。
あぁ、こんなことを聞いてしまうわたしって嫌な奴だ。
ねえ、先輩。
わたしはその言葉を聞いてますます『好きです』と伝えにくくなりました。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。