第18話

守り抜く 3
159
2019/02/03 11:41
私が、殺した。






















黒沢 日向
黒沢 日向
麻白!!
黒沢 日陰
黒沢 日陰
無事か⁉
私においていかれた皆が、私に駆け寄る。
城崎 優
城崎 優
何だよ、これ...
優は死んでいる死神を見つめる。
黒沢 日向
黒沢 日向
お前、まさか...
私
はは..やっちゃった...
顔、見られてないだろうか。

きっと今の私の顔は、酷い状態だろう。


大量の涙

夏々の血

全てがこぼれ落ちたような目

微かに笑う口


本当、酷い顔だ。
黒沢 日向
黒沢 日向
そうだ!夏々ちゃんは⁉
日向はそう言って辺りを見渡す。
私
ここに、いるよ...
私はそう言って、腕の中にいる夏々をぎゅっと
抱き締める。
黒沢 日陰
黒沢 日陰
う..そ...
城崎 優
城崎 優
...
優は黙って、夏々に歩み寄った。

そして、夏々の首にそっと触れる。
























『まだ、生きてるよ。』


















...え?
城崎 優
城崎 優
夏々は、まだ生きてる。
城崎 優
城崎 優
病院に運ぼう。
優は冷静だった。

夏々が死んだかもしれない状況で、冷静だった。


私は知ってる。


皆が悲しかったり、苦しかったり、絶望に
立たされた時、優はいつもより冷静になる。

いつも冷静なのに。

いつもより冷静になる。


それは何故か。


優しいから。

賢いから。

強いから。


優は人のことばかり考える。

もちろん、自分のことも。


優がいつも冷静を保てるのは、その場の皆を疑い、
信じているから。



















その意味は、分からない。






















けど、それが優なんだと思う。




















黒沢 日陰
黒沢 日陰
まだ生きてるのだとしたら、
櫻子先輩を呼ぼう。
黒沢 日向
黒沢 日向
な、何でだ?
黒沢 日陰
黒沢 日陰
あの人は─────────────────




















─────────────────────────────────





















私
ん...
気付いたら、知らない部屋のベッドで寝ていた。
色原 櫻子
色原 櫻子
おっ。目、覚めた?
私
は、はい...
櫻子先輩...?

確か私は死んで...
私
はっ!
私
先輩!麻白は⁉
色原 櫻子
色原 櫻子
ん?まーちゃんのこと?
ま、まーちゃん?
色原 櫻子
色原 櫻子
大丈夫だよ。まーちゃんは無事。
櫻子先輩は優しく微笑んだ。

その笑顔を見て、私はほっと胸を撫で下ろした。
私
そういえば私、怪我して...
私
それに、死神は...?
色原 櫻子
色原 櫻子
怪我は私が治したから安心して。
櫻子先輩はそう言って微笑む。
私
え?な、治した...?
色原 櫻子
色原 櫻子
うん。
色原 櫻子
色原 櫻子
死神は...


















『麻白が殺した。』




















私
え...
色原 櫻子
色原 櫻子
なんか、凄く思い詰めたような
顔だったよ。
色原 櫻子
色原 櫻子
「また、やっちゃった」って。
“また”、やっちゃった...?
色原 櫻子
色原 櫻子
なーちゃん。
な、なーちゃん?
色原 櫻子
色原 櫻子
まーちゃんを助けてあげて。
色原 櫻子
色原 櫻子
まーちゃんを暗闇から救ってあげて。
そんなの、分からない。

助ける?暗闇から?


私に、出来るの? 






















でも...



















私
はい。きっと、きっと...
私
救ってみせます。
私
だって...




























『“親友”ですから。』

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