私は、夏々を傷付けた死神の首に鎌を突き付け
ながら、そう言った。
いつもより低い声色を出し、死神を睨む。
すると死神は、夏々の腕を放した。
私は、夏々に手を差し伸べる。
夏々はそう言って、私の手を取り立ち上がる。
ジャラ...
それと同時に、鎖が擦れる音がした。
夏々の左足には、鎖が繋がれていた。
夏々はもう、こんなにボロボロだ。
腕から出る血はまだ、止まっていない。
私がそう言うと、死神は醜い笑顔を浮かべた。
え...?
そんな...
死神はそう言って、私に襲いかかってきた。
私は、それをなんとかかわす。
夏々が心配そうに、私を見る。
私はそう言って、笑う。
もう一人の死神が、襲いかかる。
私はそれを、鎌で止める。
鎌が降り下ろされる。
私はそれを避け、後ろに回り込み背中を
鎌で切り付ける。
死神はそう言って、鎌を降り下ろす。
私はそれを鎌で止め、死神のみぞおちを蹴る。
死神はそう言って、私の両サイドに回り込み
挟み撃ちにする。
どうしよう。これじゃあ、一人だけ避けられない...
どうする?どうする?麻白。
考えるんだ。早く、早く、考えて...!
あぁ、一人だけ避けられなかった。
私は普通の死神と違って、あまり回復能力が
ないんだ。
あ..れ...?
痛く..ない...?
私は、ゆっくり後ろを見た。
夏々が、私の盾になっていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。