第16話

守り抜く
185
2019/01/24 14:27
私
その手を放して。
私は、夏々を傷付けた死神の首に鎌を突き付け
ながら、そう言った。
死神
っ⁉
私
放せ。
いつもより低い声色を出し、死神を睨む。

すると死神は、夏々の腕を放した。
私
立てる?
私は、夏々に手を差し伸べる。
小林 夏々
小林 夏々
う、うん。
夏々はそう言って、私の手を取り立ち上がる。




ジャラ...



それと同時に、鎖が擦れる音がした。




















夏々の左足には、鎖が繋がれていた。
私
...
夏々はもう、こんなにボロボロだ。

腕から出る血はまだ、止まっていない。
私
許さない...
私
連れ去って、ボロボロにして、
鎖で繋いで...!
私
許さないんだから!
私がそう言うと、死神は醜い笑顔を浮かべた。
死神
ははっ。許さないって?
死神
別に許さなくても問題はないんで。
死神
それに、そこの人間が連れ去られた
のはお前のせいだろ?シロシア。
え...?
死神
だって、そうじゃないか。
死神
僕らは君に用があるんだ。
死神
君は、話を聞いてくれなさそう
だからこの人間を使ったんだよ。
死神
“こいつを連れ去ればシロシアは
来る”ってね。
死神
まぁ、一人逃がしたけど。
そんな...
死神
あとね、話っていうのは...
死神
こういうことだよっ!
死神はそう言って、私に襲いかかってきた。

私は、それをなんとかかわす。
死神
おー。お見事。
小林 夏々
小林 夏々
ま、麻白...
夏々が心配そうに、私を見る。
私
大丈夫だよ。すぐに終らせる。
私はそう言って、笑う。
死神
こっちを無視するんじゃねぇっ!
もう一人の死神が、襲いかかる。

私はそれを、鎌で止める。
死神
はぁっ!
鎌が降り下ろされる。

私はそれを避け、後ろに回り込み背中を
鎌で切り付ける。
小林 夏々
小林 夏々
ま、麻白...!
私
大丈夫。死神はこれくらいで
死なない。
死神
よくご存じで。
死神はそう言って、鎌を降り下ろす。

私はそれを鎌で止め、死神のみぞおちを蹴る。
死神
ぐはっ
死神
くっそ...
死神
こうなったら...!
死神はそう言って、私の両サイドに回り込み
挟み撃ちにする。

どうしよう。これじゃあ、一人だけ避けられない...
私
くっ...!
どうする?どうする?麻白。

考えるんだ。早く、早く、考えて...!
死神
てりゃぁ!




















あぁ、一人だけ避けられなかった。


私は普通の死神と違って、あまり回復能力が
ないんだ。
























あ..れ...?



痛く..ない...?






















私は、ゆっくり後ろを見た。





















夏々が、私の盾になっていた。

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