第30話

喧嘩
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2020/08/09 23:56
<南side>
尾田 南
尾田 南
よっしゃ一匹~
莉犬
莉犬
南ちゃん上手くない?
ころん
ころん
そんくらい普通だろ…
ってほい一匹
尾田 南
尾田 南
うざ。黙ってろ
ただいま絶賛金魚すくい中
いつもならもっととれるんだけど…
浴衣やりにくい!!!(そのままでも十分すごいよ…)
美坂リサ
美坂リサ
ねえ、南ちゃんの浴衣ってどこで買ったの~?
尾田 南
尾田 南
えーっと、近くのショッピングモールの浴衣典で買ったよ
美坂リサ
美坂リサ
へ~
チラチラと目配せをするリサちゃん。
いや、何…?
莉犬
莉犬
みみ、南ちゃん
尾田 南
尾田 南
ん?何?
莉犬
莉犬
ゆか、浴衣…似合ってるね!!!
私は目をパチクリさせた。
…どうしよう、嬉しい。
尾田 南
尾田 南
…莉犬、ありがと
ちょっと恥ずかしくなって下を向きながらお礼を言う。
莉犬
莉犬
その顔、やめてよ…
美坂リサ
美坂リサ
(あー、なるほどね?こういうことか)
美坂リサ
美坂リサ
南ちゃんかわいい!
尾田 南
尾田 南
ありがとねー、リサちゃん
ニッコリと笑いながら私はお礼を言う。
やっぱり、誉められるのは嬉しいな…
ころん
ころん
…まあ、普段着よりもセンスいいんじゃない?
尾田 南
尾田 南
それ誉めんの?
ころん
ころん
…若干?
尾田 南
尾田 南
疑問系やめなさいバカ
ころん
ころん
うるっせえ
美坂リサ
美坂リサ
(これは…やっぱり三角関係ですかね?)
リサちゃん、なんか察したような顔してるけど何を察したの?
モブ3
きゃーー!ひったくりよーーー!
私はその言葉にピクッと反応すると、そっちのほうに振り返った。
女の子のバックを奪った奴がこっちに向かってくる。
私は避けようとする引ったくりにタックルを沈めた。
ひったくり
うがっ!
ひったくりは呻き声をあげて倒れる。
その隙に私は倒れたひったくりの上に乗った。
モブ3
あ、あの…
尾田 南
尾田 南
はいこれバック。
警察来たらこの人付き出しておいて。
私もういくから
そういうと私は少し人がいないところにいって持参のペットボトルを口のなかに流し込んだ。
ころん
ころん
…おい南
尾田 南
尾田 南
何、ころん?
ころん
ころん
お前…危ないだろ!?何してんだよ!
尾田 南
尾田 南
ひったくりはしちゃいけないことだから、止めただけ
ころん
ころん
ちげえよ!自分の安全考えろっていってんだよ!
尾田 南
尾田 南
私はころんにしばられる必要もない!
ころん
ころん
…んだよ
ころんはうつむきながらそう呟くと顔を上げて怒鳴った。
ころん
ころん
お前に何かがあったらどうするんだよ!?
尾田 南
尾田 南
私に何かあっても私の責任!ころんに何か言われる筋合いはないの!
ころん
ころん
なーくんが…
尾田 南
尾田 南
じゃあころんはなーくんがいなければ心配しないの!?そういう奴なの!?
ころん
ころん
ころんは悔しそうに黙った。
ころん
ころん
なんで…何でだよ!お前は人の思いやりがわかんねーのかよ!?親にどんな教育されたら…
尾田 南
尾田 南
…ないわよ
ころん
ころん
あ?
尾田 南
尾田 南
親いないわよ!死んだわよ!今年の春!事故で!
私が言うところんは驚いた顔をした。
尾田 南
尾田 南
何で、何で死んだ人にまで文句言うの?なんで私だけにしてくれないの!
尾田 南
尾田 南
もう、思い出したくなんてなかったのに…
尾田 南
尾田 南
バカ!
私はそういうと走っていった。
どこに向かっているのか分からないけど。
ここからはなれたくて走った。
これは、私も悪いことも分かっていた。
ただ、こんなに言われるのは違うと思った。
私が謝ればすむ話なのに謝らないのは駄目だと思う。
だけど…
尾田 南
尾田 南
…お母さん、お父さん
涙がこぼれた。
もう会えない人。
思い出したくなんかなかった。
私はひとしきり泣いた。
悔しかった。申し訳なかった。
いろんな感情が流れた。
それで、ちょっと正気になったとき
尾田 南
尾田 南
…ここどこ?

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