第25話

24話
167
2020/08/06 10:46
尾田 南
尾田 南
あ。
露田笹寧
露田笹寧
あ。
夏休み三日目。
露田さんに出くわしてしまった。
露田笹寧
露田笹寧
意外ですね。
尾田さんがこんなところにいるなんて
尾田 南
尾田 南
露田さんもなんでここにいるの?
露田笹寧
露田笹寧
…親に言われて無理矢理
そうここは…
浴衣展。
私はおじさんに言われて浴衣を新調しに来たのだ。
夏祭りのためだけに。
露田笹寧
露田笹寧
尾田さんはなんでここに?
ころんくんの為ですか?
尾田 南
尾田 南
は、はぁ!?
なんであいつが出てくるの!?
露田笹寧
露田笹寧
いえ、尾田さんたち付き合ってるかと思ったので、率直な感想を…
尾田 南
尾田 南
ない、ないない!
付き合ってない!
第一、どうしたらそういう明後日方向なるん!?
露田笹寧
露田笹寧
尾田さんは人との距離が近いんです
露田笹寧
露田笹寧
そんなんだから萌さんに勘違いされて絡まれるんですよ
私は露田さんの言葉に喉をつまらせた。
実際、そうだ。
私がころんとそういう仲・・・・・ではないのに、距離が近かった。
それで勘違いされるのも、納得の結果だ。
尾田 南
尾田 南
どうしたら萌に分かってもらえるのかなぁ…
露田笹寧
露田笹寧
…あの人は一生分かってくれませんよ
露田笹寧
露田笹寧
きっと
露田さんは遠い目をして言う。
まただ。
露田さんはよく、遠い目をする。
まるで昔の自分を見ているかのような、そんな遠い目。
自分の過ちを、取り返しの付かない過ちを思い出しているかのような、そんな目。
尾田 南
尾田 南
(何が…あったのかな)
聞きたくても聞けなかった。怖くて聞けなかった。
それを聞くと、露田さんがいやがってしまうような気がして…
モブ2
モブ2
あれ?笹寧ささねちゃん?
突然かけられた声に、私たちは戸惑っていた。
露田笹寧
露田笹寧
あ…同じクラスだった
モブ2
モブ2
そう!覚えててくれたんだ!
二人とも楽しそうな顔をしている。
この人、同じ高校じゃないからおそらく中学校の時の露田さんの同級生だったんだろう。
露田さん、笑ってるな…
モブ2
モブ2
あ、あと…
モブ2
モブ2
萌さんとは、どう?
うまくやれてる?
尾田 南
尾田 南
も、萌!?
私はその名前に驚いて反応してしまう。
なんで萌の名前が__?
モブ2
モブ2
えっと、あの…
露田笹寧
露田笹寧
大丈夫ですよ
露田笹寧
露田笹寧
高校入ってから同じクラスに一度もなってませんし
モブ2
モブ2
あ、そう…
よかった
そのあと何回か言葉を交わすと、その人は帰っていった。
尾田 南
尾田 南
露田さん、どういう…
露田笹寧
露田笹寧
…私は萌さんと同じ中学だった
ただそれだけの話です
尾田 南
尾田 南
でも、それだけだったら…
尾田 南
尾田 南
多分、それだけだったらうまくやれてるかなんて、聞かないと思う
私の言葉に露田さんの体は震えた。
そして数十秒止まったあとに、観念した、というように肩を落として歩き出した。
露田笹寧
露田笹寧
付いてきてください。
ここの近くに行きつけのカフェがあるんです
尾田 南
尾田 南
え、え?
戸惑いながら付いていくと、露田さんは隠し部屋っぽい奥の席に案内してくれた。
尾田 南
尾田 南
あの、これってどういう…
露田笹寧
露田笹寧
…こうなったら仕方がありません。
全部話したいと思います
そういいながらまた遠い目をして私の方に向き直る。
しかし、その目には覚悟のようなものがつまっていた。
露田笹寧
露田笹寧
今から私の中学校時代のお話をします
露田笹寧
露田笹寧
___私の、いじめ、いじめられていた中学校生活を

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