僕がそう聞くと、南は戸惑ったように顔を赤らめてから
言い合いながら買い物に向かう足取りは不思議なくらい軽かった。
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ただいま、僕は機嫌が悪い。
まあ何故かと言えば、南がめちゃくちゃ聞いてくるからだ。
…人にあげるプレゼントを。
南はちょっと赤くなりながら『皆野くん』と言った。
僕はそう言うと『ちょっと自分も見てくる』と言ってその場を離れた。
彼氏でもないのに勝手に妬いて、期限損ねて場の空気悪くして逃げて。
何したいんだよ、僕は…
これじゃあ蓮(皆野くん)にも申し訳ない。
僕は、ショッピングモール内を歩き始めた。
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<帰り際>
僕は南に話しかける。
南は笑いながらたずねてくる。
す、すすす好き…?
南はズイッと紙袋を出してきた。
…!
じゃねえ!
そう言うと僕は買ったマフラーが入った箱を後を向きながら無造作に渡した。
南が笑いながら言うが僕は直視できない。
帰り道、南は突然笑いながら振り向くと
そう笑って言われ、顔が赤くなるが
振り切って、おもいっきり笑って
と返した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。