第10話

松村北斗 × クリスマス
5,639
2018/12/25 12:35
「ごめん、今年のクリスマスは一緒に過ごせない」



『そっか…』



「ほんとごめん、仕事終わったら電話するから」



『うん、でも無理しないでね?お仕事頑張って』



「おう、クリスマスの埋め合わせはするから」



『うん、楽しみにしてるね』













この前のデートでの会話



今年は北斗と過ごせないかもってわかってた



最近北斗は忙しく働いてて、夜に電話してても



声が疲れてたし…



親友も彼氏と過ごすって言ってたから



今年は1人だなぁ…



1人でも楽しめるように今日は夜ご飯を



豪華にしてみようかな



そんなことを考えて外に出るけど



やっぱり街はクリスマス一色




「ねぇこれ欲しい!!」



「やだよ、自分で買えよ」





そんな会話が耳に入る



今日、カップルはだいたい一緒に過ごしてるよね



私もほんとは北斗と過ごしたかった



デートのときに言えばよかったかな




''一緒に過ごしたい''



''お仕事終わってからでも会いたい''




って



でもそんなの迷惑だよね。きっと



北斗も頑張ってるんだし



もーいいもん、こーなったら1人でも



とことんクリスマス楽しんでやる









『ちょっと作りすぎたなぁ…』




まぁいっか、今日はやけ食いだ…!




プルルルッ プルルルッ




ん?誰だろう?



私はディスプレイを確認せずに電話に出た




『もしもし』



《もしもし、あなた?》



『え……北斗!?』



《ああ、》



『え!?お仕事は!?』



《今日は早く終わったんだよ》



『そーなんだ、お疲れ様』



《さんきゅ》




そこで会話が途切れる



今からでも会えないかな…?




『《 あのさ/あの 》』



『わっごめん、先どーぞ』



《お前言えよ》



『北斗が言って』



《ん、あのさ今から会える…?》




え、嘘… 同じこと考えてたの…?



そんなの答えは決まってる




『会いたい…!!!』



《お前それ質問の答えになってねぇよ》




もーそんなのどーでもいい



あ……!!




『あ、あのね』



《ん?》



『ご、ご飯作りすぎたからよかったら家こない?』



《じゃあ今から行くわ》



『うん!待ってる…!』




やった…!今から北斗に会えるんだ



今、私の顔絶対ゆるゆるだ



でもしょうがない



会えないと思ってた北斗に会えるんだもん













ピーンポーン



あ…!来た!!




『はーい!』



「おじゃましまーす」




わっ、なんか緊張するかも…



ほんとに北斗がいるんだ




「なにぼーっとしてんの、俺腹減ってんだけど」



『あ、ごめん…!今準備します…!』






『はい、どーぞ!』



「ん、ありがと」



『「いただきまーす」』



『どーですか…?』



「うん、うまい」



『ほんと!?』




最初は自分のためだったけど



頑張って作ってよかった…!




「なんでこんな豪華なの」



『えっあー、北斗と一緒に過ごせないから』



『ご飯だけでも1人で楽しもーかなーって』



「ふーん、寂しかったの」



『へっ…!え、あ…寂しかった、です』




うわぁ…!!なんか恥ずかしいよ…




「ふっ、俺は最初から会う気でいたけどね」



『えっ…?』



「そのために仕事早く終わらせたし」




なにそれ…



さっきは''早く終わった''とか言ったのに



もう…




『…き』



「は?」



『すき!!』



「何急に、俺のほうが好きだし」




わっ…北斗が照れてる…!!




『ふふっ、かーわいっ』



「うるせぇ」




あ、そーいえば…!




『北斗、これ』



「なにこれ」



『クリスマスプレゼント』



「うわ、先越された」ボソッ



『なに…?』



「なんでもねーよ、開けていい?」



『うん!』



「…ん?」




私が北斗にあげたのはマフラーとペアのマスコット



マフラーは北斗がこの前のデートで欲しいって



言ってたから



マスコットは私が北斗とお揃いのもの欲しいなぁ



って思ったから買ってみたんだ




『どーですか…?』



「最高だわ」



『ほんと!?よかった…!!』



「はい、じゃあ俺もこれ」




もらったのは小さなピンクの箱




『ありがとっ!開けていい?』



「ん」



『えっ…?』




中に入ってたのはもっと小さな箱




「貸して」




そう言って北斗は小さな箱を手に取る




パカッ「あなた、俺と結婚してください」




え、プロポーズ…?



私の思考回路は停止する



え……




「あなた?」



『ふぇっ…北斗の馬鹿っ』



『はい…!こんな私でよければっ』




ふたりでぎゅーって強く抱き締め合う



クリスマスにプロポーズなんて…ずるいよ



今日は会えないって思ってて



会えただけですっごく嬉しかったのに



まさかのプロポーズ…。



私が北斗をぎゅってすると北斗もぎゅって返してくれる




「あなた?」



『グスッ、なーに…?』



「ふっなに、まだ泣いてんの?」



『だって北斗が……グスッ』




「はいはい、よしよし」



「あなた。今まで寂しい思いさせて我慢させてごめん」



「これからはふたりで幸せになろーな」



「愛してる」



『私のほうが愛してるもんっ』




今までで1番幸せなクリスマスになりました_。






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