第2話
1話
翠は思わず固唾を飲み込む。
言う寸前で止めたあなた。
翠は無口な筈だが、こればっかりは叫ばずにはいられないだろう。
ウインクして語尾を伸ばしながら言うあなた。
翠は怒りを通り越して呆れた。
投げキッスをして、あなたは言った。
あなたのハートは翠に追い払われたが。
翠が呟くと、あなたが明るく言う。
あなたがどこからか紙を持ち出して、壁に貼り付けた。
翠の周りには机と椅子が用意されており、なぜか二足歩行する動物もいた。
翠が呟くと、あなたが笑う。
食い気味にあなたが言う。
あまりのあなたの気迫に翠は拍手くらいしか出来なかった。
自分で言って気まずくなったのか、あなたはテンション低めで説明を続けた。
そうだろうと思っていたが、やっぱり少しびっくりする事実だった。
パチパチパチ…
翠の拍手が路地裏に響く。
またもやテンション低め。
指で数えつつ言った。
「えぇ…」と翠は呟いた。
手を顔の前で振って言った。
「さて、」あなたは路地裏の外に向かって歩き出した。
翠が焦りつつ聞くとあなたは振り向きざまに言った。
成人してないのに飲むのか、とも気になったがまずはあなたを引き止めねば。
この街ではあなたが唯一頼れる人なのだ。
あなたはパーカーのポケットに手を突っ込んで呆れ顔で言った。
翠は思いっきり息を吸い、叫んだ。
あなたは目を丸くしていると思うと、
急に笑った。
翠は肩で息をしている。
涙を拭いてあなたは言った。
翠がそう言うとあなたは手を差し伸べ、言った。
よく少年漫画である展開だな…と思いつつ、翠は手を取った。
2話に続く