終業式の日、嫌な予感はしていた
いや、話に行ったあの日が先か
ってにのが言った
悲しいに決まってるって言ったけど、実際は感情より心にぽっかり穴が空いた感じがする
悩んでいたのは、これだったのか?
なんで言ってくれなかったんだよ
付き合えなくても結婚出来なくても幼馴染として近くに居られると思ってた
それさえも叶わなくなって、俺はどうすればいい
母さんも頼まれたからって黙ってるなんて
クリスマスプレゼントなんていらないから帰って来いよ
黒の手編みのマフラーと万年筆?
なんで万年筆?
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真紘君へ
引っ越しの事言わなくて
怒ってるよね?
真紘君が1番怒ってる気がする
私が居なくなって悲しいって聞いた
あの日と繋がったんじゃないかな?
真紘君が悲しいに決まってるって言ってくれて
本当に嬉しかった
この一言で頑張れるよ
それとは別に頑張れるように
万年筆を使って手紙書いてね
電話でもメールでも良いけどね
生まれてからずっと同じマンションで
今まで本当にありがとう
立派なお医者さんになってね!
その頃には万年筆似合うようになってるよ
応援してるから!
にのより
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すぐ繋がったよ
あんな一言で、にのが頑張られるわけない
傷付いたのを隠すだけだろ
側に居てやれたら
このマンションで生まれた俺達は、物心つく前からずっと一緒に居た
お互いが1番に大事だった
にのが約束なんて叶わない、守ってもらえないって怒って、悲しんでたから
何とかしてやりたくて、あの約束を思いついた
引き出しを開けて、にのに渡せなかったプレゼントを出す
………決めた!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!