次の日、私は大きな病院に行った。
問診票を書き、一応ということで様々な検査を受けた。
何でもないよね?疲れてるだけ。
そう自分に言い聞かせながら、医師の診察を待っていると
先生「八坂美桜さん。8番診察室へお入りください。」
そう呼ばれた。
美「失礼します。」
近くに荷物を置き、目の前の先生を見る。
そこで告げられたのは、
世界でも数人しかいないような、いわゆる難病であった。筋ジストロフィーと白血病を足して2で割ったような、体がだんだん動かなくなって、目も耳も聞こえなくなって、最後は呼吸が止まる。考えるだけで胸が張り裂けそう。
先生「ま、混乱するのも仕方がない。私も本当にこの病気が存在するのか疑っていたくらいだから。具体的な治療法はないが、命を伸ばす治療はできる。しかも、すぐ症状が重くなる訳ではないが、、、」
永遠とこの病について述べられるため、私が一番知りたいことをぶつける。
美「先生、私はあと何年生きられますか??」
心臓が飛び出そう。
先生は、まっすぐな目で、
先「3年かな。君が今のように自由に動けるのは、あと一年だと考えておいてくれ。しかも君は若い。進行が早いことも想定される。今のうちやっておきたいことを悔いのないようにやっておくことをオススメする。」
この体に自由が聞くのが、あと一年。
いきなり目の前に突きつけられた絶望をどう受け止めていいか分からず、その後の話は全く耳に入ってこなかった。
先「これから一ヶ月に一回、定期的に検診をしよう。このこと、他のメンバーの方には??」
私は首を振る。
美「今年でアイドルはやめます。彼らとも距離を取ります。彼らはこれからデビューに向けて頑張ってもらわないと。」
そう言って、
美「では、これからよろしくおねがいいたします。先生。」
診察室を出る。
今まで飲んだことのない、大量の薬をもらってタクシーで自宅まで戻る。
もう何も考えられない。見たくない。聞きたくない。会いたくない。
ぼーっとしながら、タクシーを降り、自分の部屋の前までついた。
一人で、もし動けなくなったら。
色々考えていると、
大「入んないの?」
美「大我……」
隣に住む私の大好きな人に声をかけられた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!