(taiga side)
夜ご飯の材料を買い終え、マンションに戻ると、フラフラとした足取りで部屋に入ろうとした、美桜の姿を目に捉えた。
そっと近づき表情を伺うと、落胆したような絶望したような、今まで見たことがない表情を浮かべていた。
今日、このまま一人にするのは危ない。
そう思った俺は、
大「入らないの?」
そう声をかけた。すると…
美「大我…」
美桜が俺のことを、きょもではなく大我と呼ぶときは、弱りきっているとき。
その様子を見た俺は、
大「とりあえず、俺の部屋でご飯一緒に食べない??話聞くから」
そう、美桜の手を握り、俺の部屋に入れた。
握った手は、冷たくて小さく震えていた。
美桜をリビングに通し、近くのソファに腰掛けてもらい、
大「自由にしてていいから。俺、ご飯作ってくるね。ハンバーグでいい??」
そう言って台所に行こうとしたとき、
ギュッと俺の裾を握られた。
美「大我…、あのね。他のメンバーには言えないんだけど……。大我にだけは言っておきたいことがあるの。」
そう小さな声で俺に告げた。
それに俺は、
大「うん。いいよ。教えて」
そう言い、美桜のとなりに向き合うように、座る。
そこで告げられたものは、予想もしなかった言葉だった。
美「私、今年でSixTONESから抜けようと思う。」
すべての音が一瞬止まってしまったかのように感じられた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。