第15話

冬のノック 💖❤
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2021/07/19 00:59
亡くなる直前後の表現はありませんが、途中で亡くなります























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ジェルside
コンコンコンコン
今日も独特なノックの音がした

こんなノックをするのは彼だけ
ジェル
ジェル
莉犬
莉犬
莉犬
ジェルー!
ジェル
ジェル
そのノック、どうにかせんの?
莉犬
莉犬
癖なんだよね
彼はいつも、ノックの回数が一回だけ多い
ジェル
ジェル
まぁ、分かりやすいからええんやけど
莉犬
莉犬
いいのいいの















俺は北海道に引っ越した
同じく引っ越したのが莉犬
お互い引っ越したばかりで慣れない土地


そこで支え合ってきた
彼は雪国で遠目でもわかる

真っ赤な髪に犬耳と尻尾
それは彼いわく俺も同じらしく
莉犬
莉犬
ジェルは遠くからでもよくわかるよ
オレンジなんて分かりやすすぎてウケる
らしい





そんな彼もいなくなってしまった













雪の除雪作業の時にドジったのだろう
彼の隣人はそう言っていた
彼はよくドジった
不注意だったのだろうか
隣人は詳細は話してくれなかった







俺はその後、雪に慣れるまで隣人と一緒に行動した
その人は
モブ
雪に慣れるまでは滑ったり、落ちてくる雪に埋もれたり、危険だから
そういって面倒を見てくれた


















莉犬が亡くなって1週間
いつもの日常が非日常になった日
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夜だった
いつもよりテレビが面白くて夜遅くまで観てしまった時だった



















コンコンコンコン




音が聞こえた






窓ガラスを叩かれた音


















真冬の北海道








人の家の窓まで来てノックする人なんていない










確認しても誰もいない
ジェル
ジェル
そっか


































あんなノックをするのは人生で1人しかいなかった
そして彼も、もういない

































俺は全てを察した
ジェル
ジェル
おかえり莉犬


















彼が家に来たんだと
帰って来たんだと








そう思って窓に居るであろう彼を歓迎して迎え入れた





















普通なら怖いだろう

























でも俺は怖くなかった








むしろ嬉しかった










まだ側にいたんだと









安心できたから













それから何ヵ月かノックが続いて





春になった頃


















ノックの音は一切ならなくなった

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