ころんside
僕に息子がいた
でもちょっと体が弱かった
なかなか母に会いに行けず、母も体調が優れなく僕らに会いに来ることは出来なかった
母は会いたがってた
自分の孫に
でも、そんな願いも叶わず
母は
息子に会う前に亡くなってしまった
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やっと実家に帰れたのは息子が5歳になったとき
やっと息子の体調が良くなって
外で遊べるようになったとき
息子にとっては祖母に会うことも出来なかった
母にとっては実の孫に会えなかった
どれだけ無念だっただろうか……
ぶっちゃけこんなこと話すのは辛い
でも、息子にも知ってもらわなくてはならない
そう思って仏壇の前に座った
息子が仏壇にある、母の写真を聞いてきた
息子には会わせたことも、写真を見せたこともない
なぜ知ってるのだろう
そっか
母はきっと
孫に会いに来たんだ
そっか
なんか嬉しいな
自慢してやろ
『ありがとう』
え
かすかに聞こえた声は
紛れもなく母の声だった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。