さとみside
俺の親戚の家の側には山がある
結構大きくて、ハイキングとかサイクリングとか、色々出来る山
親戚はいつも言った
９のつく日に山に入るな
と
～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～
彼はジェル
俺の従兄弟
関西の方に住んでるから方言が凄いけど元気で明るい弟みたいな存在
久しぶりのサイクリング
それも従兄弟と
それで楽しみにならない奴はいないだろう
俺は意気揚々と準備を始めた
～～～～～～～～～～～～～～～～～～
～～～～～～～～～～～～～～～～～～
次の日
準備が出来た
９の日じゃないから平気
別にそんな長居するつもりないし
～～～～～～～～～～～～～～～～～～
～～～～～～～～～～～～～～～～～～
３０分後
なんだろう
知っている道のはずなのに、急に霧が出てきて……自転車が重い
見慣れない風景ではないはずなのに
そんなに長くない道のりなのに
知らない場所に
永遠と続く距離
そんな感じだった
幽霊？そんなわけないだろ
そんなことを言いながら山を降りた
山から出た瞬間
自転車が嘘のように軽くなった
ヤバい、あの山には何かいる
そう思った俺たちはそれから山に入ったことはない
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました！