僕たちはいつも一緒だった。
もちろん、今の話ではない。
昔々の話だ。
今は立場が違うってわかってるし
もう普通に話すことなんて
出来ないと思ってた。
そう、今の今まで
コイツがここに来るまでは
コイツは幼馴染みの秀太。僕と違って優秀で帝直属の責務を負っている。
僕は武官になりたかったけど、身長が小さいからとかふざけた理由で文官にされた落ちこぼれだ。
僕たちの母親は乳母をしていたため、僕たちは宮中で育った。
あの頃はなにもわかってなかったし、ただ毎日が楽しかったんだ。
何となくいやな予感はしてた
瞬間、僕は秀太の胸倉を掴んでいた。
僕ははっとして慌てて手を離した。幼馴染みとは言え目上の立場の人間だ。こんなところを誰かに見られたら僕の首は飛ぶ。それをわかってて秀太は僕を人のいないところに連れてきたのだ。
秀太が人懐っこく抱きついてくる。さっき胸倉掴んだ相手だぞ? まぁ、これが秀太なんだけどね。
つい安請け合いしてしまったけど、でも居ても立ってもいられなかったことは確かなんだ。
誰かが命を狙っている
懐かしい声が何となく聞こえてきた気がした。僕は武官になれなかった落ちこぼれだけど、もしかしたら約束を守れるかもしれない。
大変なことが待ち受けてても、またこいつらとなにかが出来る。それが嬉しくってワクワクしてたんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。