第19話

Another9
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2021/05/30 15:00
康祐
どういうことだよ!なんでっ
誠明
申し訳ございません。まさか本人のいない場所で精神的な攻撃をして来るとは想像してませんでした。
 皇太弟の部屋が荒らされ、皇太弟がおかしくなった。一刻も早く皇太弟を止めるべき、という意見を進言された康祐は腹が立っていた。これを誠明に当たっても仕方ないことだとわかりつつも、つい…
康祐
確かに、秀太と会う時間は安牌だし、でも、なんで…
誠明
本当に申し訳…
康祐
すまない。ちょっと取り乱した。
誠明
陛下…
康祐
もう、時間がないってことなんだよな…
それは違う
秀太
ちょっと潤、ハァハァ、はやいよ。
 いつのまにか部屋の入り口に潤と秀太がやってきていた。
いい線いってる、って俺は思う
誠明
確かに、焦っているのは相手の方かもしれないですね
秀太
確かに、コレで勝くんの周りの従者を一掃できる口実ができたよね
 康祐は頭では分かっていながらも勝就が傷ついていることを、それを守れない自分を許せずにいた。
康祐
これ以上、誰も傷つけたくないんだよ。俺、どうしたら…
威張っとけ
康祐
は?
誠明
怯んでるってバレたら相手の思う壺です。陛下は陛下らしくいてください。
秀太
大丈夫だって、もうここまで来たら突き進むしかない
知らない分からない振りをしながら、今まで通りいればいい
誠明
何かのボロが出たら俺たちが何とかしますから
秀太
もう迷ってる暇なんかないんだから。頑張ってくれてる文哉のためにもここで立ち止まらないでよ?
ゆーご
こんばんわ、皆さんお揃いで
窓の外からひょっこり顔を出すゆーご。
お前、後宮の方は?
ゆーご
今戦ったばっかだし、ヒチョくんいるから大丈夫だよぉ
秀太
戦った?なんで?
ゆーご
わかんないけど、ふみちゃん襲われてたから助けてきたよ。まぁ、たぶん助けなくてもふみちゃんと花蓮さんだったら大丈夫だったけど
康祐
まじか…
誠明
確定ですね。陛下は間違っていないんです。相手も焦っているようですし、このまま進めましょう
康祐
…わかった。みんな、俺について来てくれな
言われなくても
誠明
当たり前じゃないですか
ゆーご
ほんとほんと
秀太
まずは、皇太弟様の従者の解雇。後任は武鳥隊にでもお願いしましょう。あとは妃選びの期日も予定どおりで。この数日でおかしい動きをするやつは全部更迭で。良いですね、陛下。
康祐
任せた。なんか言ってくるやつは俺がねじ伏せればいいんだろ?
秀太
忙しくなりそうですね
 止まっていた時計がすごい速度で動きだしバラバラだった点が繋がり始めた。さっきまでの不安は嘘のように、信じられないほどの自信へと繋がっていった。こいつらがいる。支えてくれる仲間達がいる。頑張ってくれている親友がいる。負けないでいてくれる弟がいる。
 俺はもう、逃げるわけにはいかない。
 この国は俺が守る。

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