大量の書類の山に面倒な気持ちと戦いながら目を通し判子を押す。もう決まったことで自分にはなにも言う権限はない。ただ、判子を押すだけの簡単なお仕事。康祐はそう思いながらも判子を押していた。書類のなかには懐かしい名前もちらほら。時が経ち徐々に遊んでた従者の子達が仕事に就いているのだ。
康祐は少し考えて部屋を出るそのまま庭に出て、辺りを見回す。部屋の前に立つ衛兵がスッと体を正す。
軌道隊は皇太子だった頃に父帝に頼んで構成してもらった隠密部隊。父が亡くなり帝になった時に解散を言い渡した、つもりだった。
二つの影が飛んできた。ヒチョとゆーごだ。
3人はフフッと笑い目配せをする。そして三人とも片膝をつく。
秀太がやけに給料よこせって言ってたのはこういう事だったのかと納得しつつも7人の給料出すなんてあいつもなかなか良いところあるなぁと見直していた。まぁ、常に自分のそばにいてお金も使うことがなかったのかもしれないがそれでも、良い部下を持ったと心底思っていた。
『全部、僕のお陰ですからね?』
とにっこり笑う秀太が見えた気がした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。