第21話

Another11
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2021/06/13 15:00
康祐
後腐れなく辞めさせる?
そうです。ただ首を切るだけではヘイトが溜まります
秀太
でもどうやって?
だから僕たちがこれだけの資料を作ったんですよ
 ソルがつべこべ言いながら書類を運んできていた。その横をにこにこしたえりっくがなにも持たずにやってくる。
えりっく
おかしいなーって思ってからずっと記録しているから証拠にはなるはず。
秀太
…横領…?
少額ですが幹部クラスのかたのほとんどが荷担されているようです
康祐
よくこんなに揃えてくれたな
えりっく
陛下からお声がかからなかったらそのまま破棄しようと思ってたさー
僕もすぐにこれをえりっくから見せられるとは思いませんでした
秀太
これだけ情報があれば証拠には十分だと思う。すごいよ、えりっく
えりっく
へへへ、なんくるないさー
ただこれを裁判に持ち込むのは途方もない労力がかかりますし、国がその間に傾く事があり得ないとは言いきれません
康祐
じゃぁ、どうすれば?
だから僕たちが後ろから根回しをします。手分けして自分から辞めるように誘導します。
えりっく
僕たち9人に任せてくれれば大丈夫さー
秀太
頼もしいね
えりっく
国を裏切る行為は絶対許せないさー。それは子どもの時に聞いてきたから
僕たちはこの行為にたいしては許せません。
秀太
うん、許せないよ
康祐
許して、辞めさせるってことか?
さすが陛下
康祐
罪人としたくない。このまま引いてくれって頼めば良いわけだな?
秀太
翼、すごいよ
この書類上に上がっているかたを個々にお連れしていきます。泣いて懇願する人もいれば僕たちが嘘をついているとキレる方もいるでしょう。
康祐
わかった、それは俺が対処する
秀太
あとは後任をどんどん配備すれば良いわけですよね?ただ、その前任達の息のかかったメンバーではダメなわけだから
えりっく
そのための僕たちだったんじゃない?先帝様はそのために僕たちに教育を施したんだよ
秀太
…こーくん。時は来たって感じだね
 小さい頃聞いた父の言葉をふと思い出した。
父帝
いいか、将来帝になるからと言って奢ってはいけない。弟にはもちろんここにいる仲間達に対しても、だ。そうすれば将来絶対お前を助けてくれる。優しくあるんだぞ?
 目に熱いものを感じながら、康祐は決意した。翼達が考えてくれた作戦に乗ることを。それは国が傾きかねない決意ではあると自分でもわかっていた。
 そして、皇太弟の妃選びは間近に迫っていた。

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