第23話

21 今日という日
861
2021/05/07 12:50
(あなたside)


ドアを開けるだけで5分もかかってしまった

やっとの思いで玄関のドアを開けると
そこには見慣れた靴が置いてある

先に来ていたんだ
という驚きともうすぐそこに会いたい人がいるという緊張が同時にやってくる


靴を脱ぎ、部屋に入る
リビングの前のドアの前に立ち
手をかけようとする

この先に誠也がいるんだ

そう改めて心に言う








ドアを開ける



















『誠也…』

「あなた…」






気がついたら
誠也を抱きしめていた
自然と溢れる涙。






『会いたかったぁ…』




しばらく無言で抱き合っていた






落ち着いた頃
初めに話しかけたのは 私の方だった
















『ねぇ なんで勝手に消えたりするの?』












抱きしめていた腕が解かれ
代わりに誠也の前に座る




「俺はな あなたの隣に居ったらあかんねん」

「亜希子やったっけ? あいつから色々聞いたやろ」

「それが真実や」






『違うでしょ…』

『誠也はあんな人じゃない』

『もっと優しくて暖かくて…』

「違わへん」

「ちゃんと過去のことも話すべきやったな」


『全部話して?』

『誠也の口からちゃんと聞きたいッ…』





「俺はな…」




〜過去の話終了〜











「こんな人やねん」

「俺は」












「俺にはもうあなたの前におる資格はない」

「元々ただの居候やしな」



『行かないでよ…』


『誠也と一緒にいたいから…』









「傷つけそうで怖い」







「大事やねん…あなたのことが…」

「やからこそ…俺やない他の誰かに守ってもらってや…」




『傷つかないよ…?』




『私は傷なんてつかないよ?
だって… 誠也は前の誠也とは違うでしょ?
亜希子の話を聞いた時、
誠也がどんな人なのか分からなくなった
私が知ってる誠也と
亜希子の話す誠也が違いすぎて
けど、

私の中での誠也は
優しくて 可愛くて…
そんな誠也だもん
今でもそうだよ?

今目の前にいる誠也は
私が大好きな誠也だもん

それにさ
もし傷つけても
また癒してくれるでしょ?
誠也が

だからさ
もっとずっと隣にいて?
離れてかないでよ…』


『誠也…』














「こんな俺でもいいん?」

『誠也がいいの…』

「俺、離れへんで?」

『離すつもり無いもん…』



























「好きやで」









そう言った誠也から降ってきたキスは
幸せでいっぱいの味がした

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