第22話

21 会いたいから
840
2021/04/30 13:51
(あなたside)



誠也と2人きりで話す時間を
正門と西畑が作ってくれた


明日 1日ぶりに会う

たかが 1日でしょ?
私にとってはとんでもなく長い時間に思えた


誠也がどう思ってるのかも
私がどうしたいのかも

今は全然わかんない











『ありがと…』

正門
「それさっきも聞いた」

『私のために色々と…
今は泊めてくれようとしてるし…』

「気にせんでええよ」

『…ありがと…』


「誠也さんのこと なんでもっと早くなんか言うてくれんかったん?」

『正門に言いたくなかった…』

「そう…」

『正門 いい人だから』

『そんな人危ないって言いそうだなって(笑)』

「多分、そう言ってたと思う(笑)」

『正門には頭が上がらないね…(笑)』

「ほら、もう寝ぇや?」

『うん、 おやすみ』

「おやすみ」



正門の優しい声に包まれて
いつの間にか眠っていた














末澤side


『ホンマに泊めてもらってありがとうございます…』

「いやいや気にせんといてください(笑)」

『迷惑かけてしまってすいません…』

「やからほんまに大丈夫ですから(笑)」

『いや、でも 正門さん…なんか怒ってる感じがしたんで…
西畑さんも怒ってるんかなって…』

「あ〜(笑)」

「多分それは 正門があなたのこと好きやからやと思いますよ(笑)」


『えっ…』

「結構前からやと思いますよ?
多分あなたが誠也さんと出会うよりもずっと前」

『そうやったんですか…』

「誰にも言うなって言われてたんですけどね(笑)」


『でもこれでよく分かりました』

『あなたの事が好きやからあんな風に一生懸命してくれたんですね』

「そうやと思います」

『俺、あなたのこと 大事にしたいんです』

『もう離したないから…』

「その思い 全部話してあげてください」

「あなたに」

『(コクッ)』

「ほなもう寝ましょか(笑)」

『そうですね』












あなたside




「ほら、もう着くから」




正門の運転する車に揺られ
気がつけばもう家の近くまで来ていた



もうすぐ誠也に会える










「思うこと全部吐き出して来いよ」










『ありがと 行ってくる』















(末澤side)


西畑さんに送ってもらって
ここまでやってきた

何から何までホンマに頭が上がらへん
あんまり何回も言うとそれはそれでなんか嫌かなと思い あまり多くは言わんかったけど
本当に感謝している



俺の方が早く来てたみたいで
鍵が空いてへんかった

でも、玄関前で再会するんは嫌やったんで
持ってた合鍵を使って扉を開ける

たった1日見てないだけなのに
もう何日も見てへんかった風景に思える

そんな懐かしさとともに
いよいよなんだと思うと緊張が走る

思いは全然まとまっていない

結局何が言いたいのかも分からへんし
何がしたいのかも分からん

やけど、
会わんことにはなんも始まらへんよな

この時間を作ってくれた
正門さんと西畑さんには感謝してもしきれへん




約束の時間が近くなり
動きが早くなる心臓

まとまらない感情





でも、はよ会いたい…












玄関のドアが開いたのは
その時だった

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