前の話
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付き合って3ヶ月の私達は、記念日ということでデートをしていた。
時計を見ると、もう19時を回ろうとしていた。さすがに3ヶ月でことに及ぶには早すぎるんじゃないかと、恋愛経験のない私はそう思った。
そう言って彼は何やら箱のようなものを取り出した。
しかし私は嬉しさ半分、不安半分、といった感じだった。なぜなら彼は、なんというか掴みどころのない、道化師みたいな人だったからだ。
それに受け取った箱は、サイズの割に少し軽めのものだ。
私は二つの意味でドキドキしながら箱を開ける。
箱を開けると、中からばね仕掛けのおもちゃが飛び出した。
びっくり箱だ。
彼が堪えたような笑い声をさせる。
確かに、自分でもすごく変な声を上げて閉まった気がした。
そう言って、彼はポケットから何かを取り出した。
絶句してしまった。まさかちゃんとしたプレゼントも用意してたなんて。
キザな人だ。でもそんな痛々しいくらいのサプライズを、こんなに嬉しく思っている自分がいる。
彼は自分のスタンスを崩さずに、嬉しそうにしていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。