園川 安楽
あっ、晴明さん。
晴明と呼ばれたその青年は、優しそうな青年だった。
スーツと、勾玉のようなピアスとネックレスをしていて、瞳は深く閉じていた。
鎖野 晴明
さて。
晴明が紬の寝ているベッドの前の椅子に座る。
鎖野 晴明
まずは、お告げについて話そうか。
…安楽、ここからは重要機密だ。席を外してくれ。
園川 安楽
はい。
安楽が部屋を出ていく。
部屋に何か重たい空気が流れたように、紬は感じた。
鎖野 晴明
君は、お告げの四属性を知っているかい?
戌亥 紬
あっはい!えーっと、召喚系、回復系、干渉系、変象系…ですか?
鎖野 晴明
そう。例えば召喚系では使い魔を召喚したり、回復系では安楽みたいに人の傷を癒やしたり、干渉系では僕みたいに「拘束」したり、変象系では気候を変えれたりするんだ。
鎖野 晴明
君のお告げは…
戌亥 紬
神刀·五月雨を召喚できます!
鎖野 晴明
そうそう。それなんだけどね…
晴明は紬の顔を見つめる。目は…開いていない。
鎖野 晴明
恐らく、お告げという枠を超えた力なんだろう。
戌亥 紬
え…で、ですけど、私は他の陰陽師のように、お告げを神から受けたんですよ!?確か、六歳の頃に。
鎖野 晴明
そう!謎はまさにそれなんだ。
鎖野 晴明
陰陽師なら皆が見る「神からのお告げ」。君は見ているにも関わらず、お告げではない何か別の力が働いている。現に、君はお告げのコントロールが出来ないんだろう?
戌亥 紬
はい…刀を抜いた瞬間、体の自由がきかなくなって…
鎖野 晴明
普通ならば初めてでも、「お告げに使われる」ということはないし、終わったあとに寝入ってしまうこともない。まだ何も判明していないから…僕らも君の力について調査をしなければならない。
戌亥 紬
調査…?
鎖野 晴明
まあ君の一番の課題は「お告げを使いこなせるようになる」ということだ。毎日別室でお告げのトレーニングだね。
戌亥 紬
え、ええっ!?
紬は心底納得行かないという顔で晴明を見る。
鎖野 晴明
君だって、お告げについて一刻も早く知りたいだろう?
戌亥 紬
まあそうですけど…でも…
鎖野 晴明
ああ、野神なら心配いらないさ。猫又に苦戦したそうだけど、まあ相手が妖力ランクSSだからねぇ。
戌亥 紬
そ、そうなんですか…
晴明がニコリと笑う。
鎖野 晴明
それじゃあ、明日から。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!