第19話

十七
977
2022/05/26 15:20
山田三郎
山田三郎
あの…有難う御座いました。
あなた

あ?…まぁ、別に良いけど。



あの後、小一時間掛けて話をし、ストーカーはもう二度と近付かない事を条件に身を引いてくれた。


一郎も、自分を思ってくれていた事への気持ちと、彼自身悪気があった訳ではないからという事で被害を取り下げると言った。



全くお人好しなもんだ。



結局私はタダ働きかい。



山田二郎
山田二郎
俺も…有難うな。
腕引っ張ってくんなかったら危なかった。
あなた

行成しおらしくなってどうした?



こうも少し前と対応が変わられたら此方も困るのだが。




山田一郎
山田一郎
てかあなたさん!
何処も怪我してないですか?
あなた

だーかーらー、何処も怪我してないって何度も言ってんじゃねぇかよ。

山田一郎
山田一郎
そんな訳ないだろう。
あんた何本呑んだと思ってんだよ!
あなた

え………



傍に片してある酒物の容器をじっと見つめる。


唯見つめる事約10秒……



あなた

数えるの辞めていい?

山田三郎
山田三郎
どんだけ呑んでんだ!!
山田一郎
山田一郎
泥酔の中無傷の方が逆に怪訝しい。ほら、怒らないからちゃんと見せて下さい。

一郎は口を動かしながら同時に手も動かし始める。


救急箱を取り出したかと思うと消毒やら包帯やらの準備をし始める。


ここまで言っているのにスルーして脱脂綿に消毒液を付け始める一郎。


お前は私の母さんか……



てか此奴私の話全然聞いてなくない?


あなた

だから酔ってねーって。

山田二郎
山田二郎
なぁ、そろそろ認めろよ。見苦しいぞ。
あなた

うるせーよ。



少し引き気味に見詰めてくる二郎にイラッとする。



あなた

だから私は酔ってねえっての。
酒瓶みてみろよ。

山田三郎
山田三郎
はぁ?何で酒瓶なんて………あっ…
山田一郎
山田一郎
三郎、どうした?
山田三郎
山田三郎
これ、全部ノンアルコールです。
山田一郎
山田一郎
本当だ。でも俺と寄った時は確かにアルコール入ってるみたいな発言してたんだが…
あなた

細かい事をいちいち気にすんじゃねえ。
私の中でコレはアルコール有りだ。

あなた

其れに、こんな非常事態の時に私が
本当に酒を飲むとでも思ってんのか?

山田一郎
山田一郎
………………………。
山田二郎
山田二郎
………………………。
山田三郎
山田三郎
………………………。
あなた

思ってたんかい。



判り易く目を逸らす三兄弟。


辞めろ、傷付くだろうが。




あなた

まぁ、これにて一件落着だな。

あなた

これでやっと私の仕事も終わるってこった。

山田一郎
山田一郎
あなたさん、本当に有難うございました。
あなた

いいよ〜。

山田三郎
山田三郎
………いち兄の件、感謝します。
後……たこ焼き美味しかった。
山田二郎
山田二郎
俺も…兄ちゃんの為に有難う。
たこ焼き美味かった。
それと、お前の事少し見直した。
あなた

相変わらず素直じゃねぇなぁ。

あなた

ま、今回は貸しって事にしといてやるよ。

山田一郎
山田一郎
お手柔らかにお願いしたいな……
山田三郎
山田三郎
げっ、あんたに貸しとか……
山田二郎
山田二郎
何させられるか分かったもんじゃねぇ……
あなた

そー怖がんなよ。
安心しな、変な様にはしねぇからさ。クククククッ…

山田二郎
山田二郎
やっぱ駄目だ!
見直した俺が馬鹿だった!!
山田三郎
山田三郎
この人は危険だ!!



「さっさと帰れ!!!!」





この言葉と共に今回の事件は無事、終わりを迎えた。




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