沈黙が辺りを包み込む。
時折旦那か先輩の何方かが蒸かす紫煙が、嫌にゆっくりとながれるものだからつい目で追ってしまった。
はぁ……何でこんな事に。
此方とら怠いから早く寝たいのに………。
よし、脱出するか。
私は反省しているような、少ししゅんとした表情を取りながら脱出の算段を考える。
座る位置は先輩と旦那が逃がさない様に扉側を座っている為少し不利。だから通路が少し広めのところに腰を下ろした。ギリいける。
後は碧棺の旦那の舎弟にバレないように逃げるだけだ。捕まえる様な事があれば国家権力を使う。以上。
今は少しの熱が冷めるのを待つだけ……
心の中でニヤリと笑う。
此方の表情で伝わったのかいい感じに勘違いしてくれたみたいだ。
理鶯さんを騙しているようで些か胸が痛むがこれはしょうがない事なんだ。恨むなら目の前の二人を恨んでくれ。
ちっ、バレてやがる。
てか何で判んだよ。アンタはエスパーか。
じーっと銃兎先輩を睨めつけてみるも彼は煙草を吸ったままうんともすんともしない。
そこで段々自分もイラついてきた。
何で私は怒られないといけない訳?
さっきの言い方的に多分私がやった先輩への悪戯はバレてない。
其れにもしやったとしても旦那が怒る理由にはならないし……
何故今二人が今迄にないくらい威圧的なのかは知らんが私には関係ない。
なら答えは一つ。
さっさと済ませて帰ろう。
ここで啖呵が切られた。
先程から約十数分。
先輩と旦那と罵倒し合っている。
何方も興奮状態で冷静に言葉を交わせる余裕なんて無い。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。