ガラッと扉を開いて辺りを見てみても誰も居ない。
闇夜だけが辺りを覆っていた。
そんな筈はない…………
否…真逆?!
グイッと二郎の腕を引き寄せ、胸に収めこんだ。
その刹那、先程迄二郎がいた場所には全身黒い衣服を身に纏った男がいた。
あなたの声が聞こえ、急いで玄関へ駆けつける二人。
あなたは依然として庇った二郎を支え、側に居る男と睨み合っている。
どうやら三人共、目の前の男とは面識がないらしい。
所謂、「一方通行」ていうやつかな。
少し身体を震わせた後を、男は静かに被り物を取った。
真逆、こんな身近に居るとは思わなかったらしく一郎は言葉を詰まらせている。
愉快と言っている様に眉を歪に下げるあなたは嗤い乍言った。
「金渡す時、匂いプンプンしてたぜ?」男の鼻先迄近づいてそう言うと、物凄く悔しそうにしながら奥歯を噛んでいた。
三郎に頼んでいたからそろそろ警察がやってくるだろう。
私は衣囊に入れていた手錠を男に付けようとした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。