第17話

十五
1,364
2021/10/08 18:48
山田二郎
山田二郎
兄ちゃん!誰も居ないよ!


ガラッと扉を開いて辺りを見てみても誰も居ない。



闇夜だけが辺りを覆っていた。



あなた

あ"っ?誰も居…ない…………




そんな筈はない…………





否…真逆?!






あなた

二郎危ない!



グイッと二郎の腕を引き寄せ、胸に収めこんだ。




その刹那、先程迄二郎がいた場所には全身黒い衣服を身に纏った男がいた。







山田三郎
山田三郎
どうかしたのか?
山田一郎
山田一郎
大声聞こえたけどなんか……えっ?


あなたの声が聞こえ、急いで玄関へ駆けつける二人。




あなた

や〜っと現れたか?ストーカーさんよぉ。

……………………………………。
山田二郎
山田二郎
えっ?!其奴が!?
あなた

二郎ちょっとうっさい。



あなたは依然として庇った二郎を支え、側に居る男と睨み合っている。




山田一郎
山田一郎
お、お前は……
山田三郎
山田三郎
…………何方様ですか?
あなた

……二郎、此奴知ってる?

山田二郎
山田二郎
否…初めて見る奴。



どうやら三人共、目の前の男とは面識がないらしい。



所謂、「一方通行」ていうやつかな。





あなた

一郎は気付かなかったようだが、私の目…否、鼻は誤魔化せられないぜ?

山田一郎
山田一郎
あなたさん、此奴の事知ってんのか?!
あなた

判ったのは数時間前だけどな。

あなた

お前………………

あなた

スーパーの店員だろ?

ッ!!……………………………



少し身体を震わせた後を、男は静かに被り物を取った。






山田一郎
山田一郎
アンタ……
山田一郎
山田一郎
今日、俺の商品の会計した奴じゃねぇか…



真逆、こんな身近に居るとは思わなかったらしく一郎は言葉を詰まらせている。




おい、何で俺の事に気付いた……。
あなた

何でか?教えてやっても良いぜ?






愉快と言っている様に眉を歪に下げるあなたは嗤い乍言った。














あなた

匂いだよ。

匂い?
あなた

お前、今日一日中私と一郎をつけてただろ?
其れもかなり近くで。

……………………。
あなた

だからいっつもお前のその香水の匂いがしてた。

あなた

一郎は私が付けていたと思っていたがんなもん付けた覚えねぇし、一郎が付ける訳ない。

あなた

決定的なのはお前がレジの会計してた時だよ。



「金渡す時、匂いプンプンしてたぜ?」男の鼻先迄近づいてそう言うと、物凄く悔しそうにしながら奥歯を噛んでいた。




あなた

他の店員から聞いたよ。お前、偶に仕事来ねぇ時があるらしいじゃん?その時間帯が調度此奴追い掛け回されてる時間と被ってんだよね。

あなた

全部喋って貰うからな。




三郎に頼んでいたからそろそろ警察がやってくるだろう。



私は衣囊に入れていた手錠を男に付けようとした。






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