第16話

16話 夜明け
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2020/05/12 09:27



それからしばらくして、

海人と玄樹は、それぞれの部屋に帰っていった。






私はまた1人になった。













そして、やっと荷物を整理する。









明日は海…




最初から水着は着といて、

上からワンピースを着る。









海へ行く時は、毎回この格好だ。









親友が死んだ時もそうだった。



















そして、明日の準備をして、

私は布団に入った。




11時。




いつもより少し早いぐらい。

























それから、音楽を聞いたりしていたけど、

寝付けなくて、私は窓を開けた。







5月の夜は、まだ少し、

冷たい風が吹いていた。







午前0時。






新しい日がやってくる。















明けない夜は無い。












鬼灯  You  (ほおずき)
鬼灯 You (ほおずき)
本当かな…






実際の夜は、何があろうと、

陽は昇る。





変な病気が流行ろうと、

誰かが死のうと、

誰かが悲しもうと…







でも、その人たちの心には、

きっと陽は昇らないよ。






だって、どうやったって辛いんだもん。





仕方ないじゃん。























でもね、私は唯一の親友が死んだときも、

泣けなかったよ。






悲しいって、辛いって思った。





何で、私よりも何倍も頑張ってて、

私の面倒も見てくれて、

ひたすら人のことを考えてた

あなたが死ななきゃいけないの?



神様は理不尽だ。



そう思った。





悲しい、辛い、苦しい…



意味分かんない…





そんな感情が、私を埋めつくした。















それなのに、私は泣けなかった。












私って、そんなに冷たい人間ですか…?




ごめんなさい。こんな人で。




ごめんね。泣けなくて…















あれから私に夜明けは来ないよ。















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