沈黙後、私が話題を振ると、
廉は川の向こうを見て話し始めた。
そして廉は、私にこう問いかけてきた。
あなたの目に、
うっすらと涙が溜まってるのが見えた。
もうとっくのとうに好きなのに。
俺は嘘をついた。
川の向こうが、ボヤけて見える。
気づいたら、頬に冷たい感覚があった。
ダメだ。
こんなのかっこ悪い。
そう思っても、涙は止まらなかった。
俺だって嫌だ。
あなたと離れたくない。
でも、それは不可能な願いで、
4日後に俺は死ぬ。
もし今俺が、
“俺もあなたのことが好きだから、離れたくない”
なんて言っても、
結局最後に傷つくのはあなただ。
その場合、傷つけた原因は俺なのに、
俺は既にこの世に居なくて、
慰めることも、謝ることも出来ない…
そんな無責任なこと、俺には出来ない。
幸い、あなた自身も泣くのを我慢してるせいか、
こっちは見ていないから、
恐らく気づいていないだろう。
ならこの気持ちは、無かったことにするべきだ。
そして俺達は、家に帰った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。