第50話

50話 無責任なこと
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2020/06/04 15:01



沈黙後、私が話題を振ると、

廉は川の向こうを見て話し始めた。




そして廉は、私にこう問いかけてきた。




永瀬  廉
永瀬 廉
あなたはさ、
俺と離婚しなくていいん?
鬼灯  You  (ほおずき)
鬼灯 You (ほおずき)
えっ…?
永瀬  廉
永瀬 廉
俺とこのまま結婚してたら、
この後幸せになれへんよ?
永瀬  廉
永瀬 廉
俺はもう数日で死ぬんやから、
離婚するなら今のうちやで?
鬼灯  You  (ほおずき)
鬼灯 You (ほおずき)
………
永瀬  廉
永瀬 廉
ん?
鬼灯  You  (ほおずき)
鬼灯 You (ほおずき)
いや…
鬼灯  You  (ほおずき)
鬼灯 You (ほおずき)
嫌だ…
鬼灯  You  (ほおずき)
鬼灯 You (ほおずき)
離婚…したくない…
鬼灯  You  (ほおずき)
鬼灯 You (ほおずき)
このまま…ずっと一緒にいたい…
永瀬  廉
永瀬 廉
ッ………


あなたの目に、

うっすらと涙が溜まってるのが見えた。



永瀬  廉
永瀬 廉
俺、そんなこと言われたら、
あなたのこと好きになっちゃうで?
鬼灯  You  (ほおずき)
鬼灯 You (ほおずき)
…………



もうとっくのとうに好きなのに。




俺は嘘をついた。




川の向こうが、ボヤけて見える。




永瀬  廉
永瀬 廉
(俺…泣いてる……?)



気づいたら、頬に冷たい感覚があった。




ダメだ。



こんなのかっこ悪い。




そう思っても、涙は止まらなかった。











俺だって嫌だ。





あなたと離れたくない。




でも、それは不可能な願いで、

4日後に俺は死ぬ。



もし今俺が、

“俺もあなたのことが好きだから、離れたくない”

なんて言っても、

結局最後に傷つくのはあなただ。




その場合、傷つけた原因は俺なのに、

俺は既にこの世に居なくて、

慰めることも、謝ることも出来ない…




そんな無責任なこと、俺には出来ない。















幸い、あなた自身も泣くのを我慢してるせいか、

こっちは見ていないから、

恐らく気づいていないだろう。





ならこの気持ちは、無かったことにするべきだ。






永瀬  廉
永瀬 廉
あなた?
鬼灯  You  (ほおずき)
鬼灯 You (ほおずき)
…………
永瀬  廉
永瀬 廉
帰ろっか
鬼灯  You  (ほおずき)
鬼灯 You (ほおずき)
……コクッ





そして俺達は、家に帰った。





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