いや…そんなわけない…
私がビビるなんて…
どうしよ…足が動かない…
先輩の手はもうすぐそこまで来ている。
まずい…早く動け…!
先輩の手が止まる。
その隙を狙って殴る。
これは正当防衛だ。
一瞬怯んだ先輩の横を走り去る。
追ってくるのがわかるが、
そんなの気にしていられない。
走れ…!もっと早く!
ここから自分の家は近いわけじゃない。
その道中で追いつかれる可能性は大きい。
なんせ、相手は3人だ。
分かれて追ってきて、
挟み撃ちにされたら逃げ場はない。
このままただただ走るか、身を隠すか…
ナイスタイミング!
ちょっと匿ってもらおうかな…
着いたのはテオくん(じんたん)の家。
数分後…
リビングのカーペットを指さす私。
そう言って近づいてくるテオくん。
すると、ひょいっと持ち上げられた。
私を持ち上げたまま
自分の部屋に入っていくテオくん。
ボブッ
そういうとテオくんは電気を消して、
ドアは開けたまま部屋を出ていってしまった。
あれだけ走って疲れた私は
結構な罪悪感を抱きつつ、眠ってしまった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。