第3話

zwei 月に微笑む
434
2021/05/04 23:06
軍拠点の門を潜り抜ければそこは、人々が賑わう大きな街。
そこに2人の青年がゆったりと歩いている。
ショッピとチーノ。ワイルダー帝国軍の新人幹部の2人。
チーノ
チーノ
ん〜この辺やと思うんやけどな
人気の居ない酒場。
とある人物を探してキョロキョロと周りを見ている。
ショッピ
ショッピ
あの人気分屋やからな…
酒場は昼間というもののたくさんの客で賑わっている。流石に軍兵は居ない。
もし兵士が居たらこの2人は容赦なく書記長様に連絡を入れるだろう。
ショッピ
ショッピ
あ。
ふと、ショッピが何かを発見。
店の奥をじっと見れば紙を広げて見ている人物を発見する。
チーノ
チーノ
お!流石ショッピ!
足音を殺して静かに近づいていく。
ショッピ
ショッピ
見つけたぞ海賊様
チーノ
チーノ
とっととお縄につけ
と真面目に言っているようだが半笑いである。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
笑ってんじゃねーよ
ったく、久しぶりだな
白髪の男はそう笑いかける。
ショッピ
ショッピ
どうも。
アンタ、有名人っすね〜
チーノ
チーノ
軍でめちゃくちゃ話題にされてますよ〜
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
マジか。
まぁ、仕方ないがな……って、お前ら軍にいるのか?
他愛もない話。彼らの関係はいかに?
ショッピ
ショッピ
えぇ。
割と楽しいっすよ…ちょっと規律が厳しいだけ
ショッピの言葉にうんうんと頷くチーノ。
海賊・ロイバァは笑う。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
で、何しに来たんだ?軍人様?
チーノ
チーノ
ん?特に何もないで
会いに来ただけ〜
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
馬鹿野郎
ショッピ
ショッピ
テヘッ!
仲睦まじく話をする3人。
誰も海賊と軍人とは思わないその距離感。
ショッピ
ショッピ
出航はいつなんですか?
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
少なくともあと1週間はここにいるぜ…
そろそろ、戦争が起きそうなんでな…
ロイバァの言葉に驚くチーノとショッピ。
その時、無線がオンになりロボロの声が聞こえた。
ロボロ
ロボロ
『ショッピくん、チーノ!直ぐに拠点へ来てくれ!緊急事態や。』
慌ただしい声でロボロはそう言い無線をきった。
チーノ
チーノ
呼ばれたんで帰るわ
ショッピ
ショッピ
また、会いましょう
新人組
我らがキャプテン・ロイバァ
2人はそう言い足速に帰っていった。
キャプテン・ロイバァ
キャプテン・ロイバァ
くくっ!
まだ、俺をキャプテンと呼ぶか……
こりゃ、船員が増えそうだな…
楽しそうに笑うロイバァ。
酒場の賑わいに紛れそっと店を出る。
ーーーーー

軍拠点、会議室
チーノとショッピが着いた時にはすでに幹部たちは集まっており、遅刻常習犯の2人も席についていた。
グルッペン
グルッペン
Δ国より宣戦布告を受けた
重く発せられたその言葉とは裏腹にグルッペンはにこやかである。
その隣でトントンはため息を一つこぼしていた
オスマン
オスマン
ホンマ、あのクソ親父……(ぼそ
珍しくお怒りなオスマン
話に聞くと軍の陰口のようなものを聞いていたようでそれに怒りを沸かせているらしい。
グルッペン
グルッペン
海賊の件は後回しだ!
諸君、戦争をしよう
全員
ハイル・グルッペン!!
その言葉とともに作戦会議が始まった。
ゾム
ゾム
兄さん
兄さん
どうした、ゾム
ゾム
ゾム
いや、なんか……….すまん、気のせいやわ
窓の外を見ていたゾム。
気のせいだ、と思い会議に集中する。


しかし、それは気のせいではなく。
影は、じっと会議を眺めて笑っていた

プリ小説オーディオドラマ