「そのネックレス、なんで菊池が持ってんだよ?」
俺が持っているネックレスに気付いた中島がそう述べる。
きっと、中島のことだからあなたにプレゼントしたものなんだろう。
それを俺が持ってたらそりゃ不審に思うよな。
でも、良い言い訳が浮かばない…
「…おい…なんとか言えよ。」
「あ、あのね、このネックレスは…」
「あなたは黙ってて。菊池の話聞いてるから。」
あの中島が彼女までにも冷たくなる。
これは相当怪しんで、怒ってるかも…
「このネックレス、中島からのプレゼントだったんだ?…へぇ、通りでお似合い。ありがと、見せてくれて。」
そう言って、あなたに微笑んだ。
どうだろう、これであなたが答えてくれれば…
「あ、うんッ…!」
「んじゃあな?中島も。」
1つ小さな息を吐いてその場を去ろうとする。
でも、そんな俺の行き場を無くすかのように冷徹な声が突き刺さる。
「…これ以上、あなたに近づくな。知ってんだからな。お前のあなたへの態度が他の女の子とは違うこと。あなたは俺のだから。」
「へぇ…そっか。了解…。」
"近づくな"
その言葉が胸に刺さって上手く声が出ない中出た言葉はヘラヘラしていて。
中島の物なのは分かっているのに、何処かで自分の物だと勘違いしている。
さよならは言わない。
だからさ、貴方もさよならなんて言わないでよ。
近づくな、なんて守れるわけない。
また近づいてしまう。
でも、俺の気持ちをそんな風にするくらいあなたを無防備にしているのは誰?
「中島も少しは気を付ければ?俺に近づかせたくないならさ。」
きっと今の俺の表情は中島を試すかのような微笑みなんだろうね。
中島へのミッション。
俺へのミッション。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。