第9話

❥ 9
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2018/08/02 04:28

「さぁ ~ て、張り切って風磨くんの看病をしようっ!」

「いや、看病って大袈裟」

「大袈裟じゃないよ。風磨くんが風邪ひくなんてね ~ …レアだよ。うんうん。…え ~ っと、体温計…体温計…」


あなたは俺の家に着いた瞬間なんだか分かんないけど(あなた曰く)看病へのやる気が漲ったみたいで、目が看護師状態。

まぁ、今のあなたに口突っ込んでも勝てねぇなと思うから何も言わないけど。


「あ、あった。…風磨くん、取り敢えず体温測って?」

「…あぁ、わかった。」


家の何処にあったのか俺でも把握してなかった体温計を差し出され受け取り測る。

…なんか目の前にあなたが居ること自体が風邪の症状で幻覚見てるみたいだな。
もちろん、幻覚見るくらい重い状態じゃないことは分かってる。
でも、あなたに対する想いは何処にも捨てようが無くて重いまま。
あなたとの行為時に捨てようとしても増えていくんだ。

そんな事を考えたら変に高いピピピピッと言う小さな合図が聞こえる。


「あ、測り終わったね。…どう?」

「ん ~ と…38?」

「え、高いじゃん!…うわぁ…取り敢えず寝てて。いろいろ用意するから」


言われるがままにベッドへと寝転がり布団を被る。

キッチンのほうを見れば手取りよく何かを用意してるあなた。

そんなところについ見入ってしまう。

きっと、あなたと結婚した人はこんなところが毎日のように見られるんだろう。
そして、いつかは見慣れてそれが普通になる。

あぁ、嫉妬しちゃうな…本当に馬鹿かよ俺。




あなたにはちゃんと居るじゃないか。

俺なんかよりちゃんとした人が。

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