モトキとダーマは付き合っとります
________________________
モトキside
あ〜……やっと撮影終わった……
撮影後の帰り道。
今日はダーマ仕事だから家帰ってもやる事無いなぁ…
正直ちょっと寂しい……
LINEのやりとりでも見返すか……
俺乙女みたいな事してんな。
うん、ここは我慢だ。うん。
家の最寄り駅に着き、
仕事帰りのサラリーマン達と共に電車を降りる。
改札を抜けた辺りで、見慣れた後ろ姿を発見した。
声を掛けようとしたが、
ダーマはこちらに気付く素振りも無く、
親しげに女性と話していた。
その姿がすごく楽しそうで、
ダーマの表情がキラキラして見えて……
俺の中でドス黒い感情が渦巻いた。
気が付いたら、俺の体は勝手に
ダーマの所へ向かっていて、
手を引いて帰路についていた。
ダーマの言っている事も、あまり頭に入ってこない。
俺はこのドス黒い感情を鎮めるのに精一杯だった。
家に着いた頃に、やっと自分のした事が理解出来た。
ダーマside
泣きながら謝ってくるモトキ。
それがすごく可愛くて……
自分の存在意義はここにあるような気がしてくる。
ほんと可愛いな…♡
何故か充足感が溢れてくる。
俺おかしいのかな?
でも恋人に求められて
嬉しくない奴なんていないだろ?
これは愛情表現だ。俺なりのね。
あんなに嫉妬してくれるのは凄く嬉しい。
でも、こんなに愛されて必要とされてるって言うのに
何故かまだ埋められない空白があるような気がする。
なんなんだろうな……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。