第12話

Hokuto : 「美容師。」
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2020/03/28 09:25
あなたside

4月。春。



桜がちらほら舞い始めた。




大学までの道のりが遠く感じて仕方ない..。



『髪の毛伸びたなぁ...』
染めてみたいなぁ...


自分の1度も染めたことがない
髪の毛をすくいながらとかした──。


















大学までの道のりの途中、

河川敷に通りかかったとき



1枚のノートが落ちていた。



『ヘアスタイルノート...??』




?「あっ!!」


不思議に思った私が拾うと
とおくで男の人の声がした。


優しいような、でもどこか不器用そうな声。




近づいてくる度に鼓動が早くなる。



「それ俺のです!すいません...」




『あっ、そうなんですね。どうぞ。』




渡しながら顔を見ると




...びっくりするくらい顔が整っていた。




?「あ、あの…」



見惚れてノートを渡すのを
すっかり忘れてしまっていた。




一目惚れしそう...なんて。




『すいません...見惚れてしまって...』



?「えっ?」



『あっ!なんにもないです../』



思わず正直に言っちゃった...。


その人は頬を赤く染めて”ありがとう“って。



?「それじゃ!」
手を振りながらさっそうと去っていくカレ。


頭に桜のってる。笑





















『...名前聞けばよかった。』
そう思っても時すでに遅し...ってね。







久しぶり美容院に行ってみようと思った。



ヘアスタイル。



もしかしたら彼は美容師なのかもしれない。




もしかしたら行く美容院にいるかもしれない。





そんなことを考えながら


友達に大学の代休を頼み



美容院への道を急ぐことにした。












































北斗side



カランコロン────。




突然やってきたキミは、




今朝ノートを拾ってくれた女性。




第一印象は髪が綺麗だな。




あんな髪で色んなアレンジしたい。
可愛くしたい。なんて思った。



向こうも俺に気づいたようで



『あ、、こんに、ちは。』




「こんにち、は。」



もしかしたら運命?なんて。




『えっと、今日はカットをお願いします』



「了解しました。ではこちらへ」




君の名前も知らないのに。


何故かドキドキして。




髪を触れば案の定柔らかいし、サラサラ。





ほのかに香る彼女の香水は


男の俺でも嫌じゃないくらいのいい匂い。




シャンプーを終えて席に着くキミに言った。





突然ごめんなさい。
でも一目惚れでした。






「好きです────。」
























なんて言ったのが昔のこと。


今では。



『昔はお互い一目惚れだったねー笑』




「あぁ、ほんと懐かしい笑」




『ほんとに!急に北斗から
言われてびっくりしたんだから』




「でも、よかったでしょ?」



『これからも一緒にいてくれるならね...??』




そんな可愛い約束を彼女とかわした。

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