第15話

十四食目
54
2022/04/30 12:46
百井 晴果
百井 晴果
寒い寒い…!
真冬一歩手前、とあることに追われながらも気分転換に外に出ていた。

コンビニで何かを買って帰ろう。

おでんという気分でもない。

となればあれしかない。

そう!
百井 晴果
百井 晴果
すみません、からあげ串ください。
コンビニのからあげ串は、からあげが3つか4つ刺さっていて200円もしない。

駅から家までどうしてもお腹が空いていたり、

寒すぎる日なんかは絶対に食べてしまうのだ。
百井 晴果
百井 晴果
はふ…熱っ、
ついでに買ったジュースを片手にからあげ串を頬張る。

外は揚げたてのようにカリカリで、

中から肉汁が溢れ出してくる。

肉は手間がよく掛けられたんであろう柔らかい食感で、

噛めば噛むほど口の中に美味しさが広がっていく。

やっぱり寒いときはこれだなぁと空を見上げると、

段々曇ってきていた。

これは早く帰らないと雪が降ってきてしまう。

少しだけ早歩きになりながら、少しずつからあげ串を頬張った。
百井 晴果
百井 晴果
ふー、ただいま。
帰ってきた晴果の部屋のテーブル付近には大量の紙とファイル。

この寒い時期に追われると言えば。

そうだ、〝確定申告〟である。

とにかく死ぬほどめんどくさい。

なんかよく簡単になっている申告もそれまでが同様に大変だから、

それをするくらいなら慣れたことを毎年繰り返すしかない。

おかげでコピーに走ったりあちこちに書類を並べたりで、

泥棒でも入ったのかという状況だった。
ちなみに最近顔の整った隣人二人とはまたよく会う。

集まることはないが、前より距離を近くして廊下で話せている。

ヒロはいつも仕事場の近くの人が面白い話をしてくれる。

あと相変わらずナンパの如く晴果の容姿をハッキリ褒めて、

細かい変化も見逃さなかった。

一方奏生は、騒音になっていないかを何度か聞いたり、

生活習慣がとんでもなく、録に料理も食べていない話を聞いて、

晴果がタッパーにおかずを詰めて渡すということが何回かあった。

その度、奏生は中に500円を詰めてお返しする。
そうして帰ってきたは良いものの、

やはりお腹は空いてしまう。
百井 晴果
百井 晴果
駄目だ、お腹減っちゃう。よし。
ささっと取り出したのは野菜とパン。

食べるものは細目にスティック状にして、

にんじんやジャガイモは先に沸騰させたお湯に入れる。

これで程よく柔らかくなるまで少し待ち、先にきゅうりを切ってマグカップに入れる。

そしてパンは切ったままトースターへ。

もろもろ終わったらいくつかのマグカップに分けて入れる。

野菜はマヨネーズ、パンはぶどうジャムをカップに入れて、

出来上がり。
超簡単マヨディップ野菜スティック!

そしてジャム付きスティックパン。
百井 晴果
百井 晴果
とか言ってる場合じゃな~~い…!!
百井 晴果
百井 晴果
でも美味しい…
百井 晴果
百井 晴果
よし、食べたら再開しなきゃ…!
そうしてまた、腕捲りをして作業を始めた。

プリ小説オーディオドラマ