真冬一歩手前、とあることに追われながらも気分転換に外に出ていた。
コンビニで何かを買って帰ろう。
おでんという気分でもない。
となればあれしかない。
そう!
コンビニのからあげ串は、からあげが3つか4つ刺さっていて200円もしない。
駅から家までどうしてもお腹が空いていたり、
寒すぎる日なんかは絶対に食べてしまうのだ。
ついでに買ったジュースを片手にからあげ串を頬張る。
外は揚げたてのようにカリカリで、
中から肉汁が溢れ出してくる。
肉は手間がよく掛けられたんであろう柔らかい食感で、
噛めば噛むほど口の中に美味しさが広がっていく。
やっぱり寒いときはこれだなぁと空を見上げると、
段々曇ってきていた。
これは早く帰らないと雪が降ってきてしまう。
少しだけ早歩きになりながら、少しずつからあげ串を頬張った。
帰ってきた晴果の部屋のテーブル付近には大量の紙とファイル。
この寒い時期に追われると言えば。
そうだ、〝確定申告〟である。
とにかく死ぬほどめんどくさい。
なんかよく簡単になっている申告もそれまでが同様に大変だから、
それをするくらいなら慣れたことを毎年繰り返すしかない。
おかげでコピーに走ったりあちこちに書類を並べたりで、
泥棒でも入ったのかという状況だった。
ちなみに最近顔の整った隣人二人とはまたよく会う。
集まることはないが、前より距離を近くして廊下で話せている。
ヒロはいつも仕事場の近くの人が面白い話をしてくれる。
あと相変わらずナンパの如く晴果の容姿をハッキリ褒めて、
細かい変化も見逃さなかった。
一方奏生は、騒音になっていないかを何度か聞いたり、
生活習慣がとんでもなく、録に料理も食べていない話を聞いて、
晴果がタッパーにおかずを詰めて渡すということが何回かあった。
その度、奏生は中に500円を詰めてお返しする。
そうして帰ってきたは良いものの、
やはりお腹は空いてしまう。
ささっと取り出したのは野菜とパン。
食べるものは細目にスティック状にして、
にんじんやジャガイモは先に沸騰させたお湯に入れる。
これで程よく柔らかくなるまで少し待ち、先にきゅうりを切ってマグカップに入れる。
そしてパンは切ったままトースターへ。
もろもろ終わったらいくつかのマグカップに分けて入れる。
野菜はマヨネーズ、パンはぶどうジャムをカップに入れて、
出来上がり。
超簡単マヨディップ野菜スティック!
そしてジャム付きスティックパン。
そうしてまた、腕捲りをして作業を始めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。