第17話

十六食目
42
2022/04/30 12:56
百井 晴果
百井 晴果
こんにちは!私、百井晴果です。
今日はありがとうございます!
三鳥 奏生
三鳥 奏生
あ、ぼ、僕、三鳥です。
たこ焼器ありがとうございます。
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
やだ!この子達ヒカルの100倍イイコ!しかも、か、わ、い、い~~!!
思ったよりも女性らしい、というのも不適切な表現だが、

可愛らしい素振りでヒロの隣に座った。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
やめて、お姉さんとお兄さんに手を出したら即出禁だから、わかった?
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
はいはーい、流石にノンケに手を出すほどじゃないわよ全く…!
百井 晴果
百井 晴果
…??
三鳥 奏生
三鳥 奏生
し、代田くん…聞かせちゃまずい言葉と相手が…
代田 ヒロ
代田 ヒロ
分かってます…追い出してぇ…!
たこ焼器無ければなぁ…。
百井 晴果
百井 晴果
さ!材料揃ったなら始めませんか?
代田 ヒロ
代田 ヒロ
そ、そうっすね!
ほらガネさんたこ焼器!
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
ちょっとあんた~~!
その呼び方やめなさいよ!
思ったよりも強めの音を立てながら叩かれるヒロ。

完全に痛いやつだった。
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
お姉さん、って呼んでくれていいのよ?
代田 ヒロ
代田 ヒロ
キッショ!!!ほんとのお姉さんこっちだし!!
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
晴ちゃん?あらやだなにあんた口説いてんの!?
代田 ヒロ
代田 ヒロ
ハァ!?!?
三鳥 奏生
三鳥 奏生
え!?
ここで何故か奏生も驚くがまぁ晴果は今の状況が全くわからない様子。

サキはヒロが普段女性をお姉さんと呼ぶことはないのを知っているので、

そういう特別な相手なのかと聞いたのだった。

それを見透かされ、逆ギレか隠そうとしてるのか怒っていた。
百井 晴果
百井 晴果
???焦げちゃいますよ!
回して回して!
代田 ヒロ
代田 ヒロ
えぇ!?
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
ほっ、ほっと、
百井 晴果
百井 晴果
わあ!城ヶ根さんお上手です!
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
あらほんと?いいのよ?サキで。
百井 晴果
百井 晴果
はい!
一本の竹串しか使っていないのに、クルクルと綺麗に丸め込んでいく。

半ばプロにすら見えて、晴果は料理する身としては少しワクワクしていた。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
くーーー腹立つ~~!!
晴果と予想以上に仲良くするサキを見て妬みながらも、

ヒロも上手く回していく。
三鳥 奏生
三鳥 奏生
わ、わ、こんなに。
一方奏生は手持ち無沙汰になり、作りまくるサキとヒロから沢山貰っていた。
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
そこの芋男、食べなさい!
ただでさえ細いんだから!
三鳥 奏生
三鳥 奏生
い、芋…!?
代田 ヒロ
代田 ヒロ
は!?ガネさん酔ってんだろ!!お兄さんはイケメン!!だよねお姉さん!
百井 晴果
百井 晴果
へ!?あ、う、うん、顔は整ってると思い…ます…
思わぬ振りに驚き、若干照れながらそう言う。

それは一般人からしたらカッコいいだなんて普段から言わないだろう。
三鳥 奏生
三鳥 奏生
え、あ、あり、がとうございます…
そしてこちらも、少なくとも好ましく思っている女性からそう言われ、

反射的に顔に熱が籠っていく。

耳まで真っ赤だが、誰も何も言わない。

何せ部屋が暖房&こたつ&たこ焼器で暑すぎるのだ。
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
整ってるけど髪!!
セットしてあげるわ!今度!
三鳥 奏生
三鳥 奏生
は、はいぃ、
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
てかほんとにいい感じね。目が綺麗だわ、あとはメガネ取って…あんたコンタクトは。
三鳥 奏生
三鳥 奏生
な、ないです…
急にサキに顎を上げられながら顔の隅々まで見られていく奏生。

こちらは先程とは別のドキドキで、

段々体が寒気と一緒に冷えていっていた。
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
あ~~~!アンタモテないわ!
三鳥 奏生
三鳥 奏生
やばい、精神的ダメージで死ぬ…
百井 晴果
百井 晴果
生きてください…!!
代田 ヒロ
代田 ヒロ
アンタまじ黙っとけ…!!
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
何よぉ、別に貶してないわ!
これからどうとだってなるわよ。
ゲシゲシと足でサキを蹴るが、

体格が良いのでびくともしない。

サキは本当に貶しているのではなく、

美しいものであってほしいという願望からそう言っている。

確かに言葉は悪いけれど、そのアドバイスは的確で、バーでも良い相談相手として働いているのだ。

美しいものは美しい、そうでないものはこうしたら美しくなれる。

そういうハッキリとした人間だ。
百井 晴果
百井 晴果
確かに、サキさん目元凄い綺麗ですね!
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
あらわかる?でも晴ちゃんもいいメイクの仕方してるわ。
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
ナチュラルメイクを上手く出来てる。あとは差し色入れたら…
代田 ヒロ
代田 ヒロ
ちょちょちょ、やめてそこでメイク話するの。怖い。
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
なによ良いじゃない女子トーク。
百井 晴果
百井 晴果
勉強になります。
ぐっと握りこぶしを作ってサキと笑い合うが、

男子二人は唯一の華である晴果がそちら側に付いたことに頭を悩ませた。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
お姉さん!?
三鳥 奏生
三鳥 奏生
あぁ…百井さんが…
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
さ!食べましょ食べましょ。
百井 晴果
百井 晴果
ん!美味しいですね、
これは…ウインナーですか?
それを知ることも無く、美味しく食べる晴果と可愛いと思う晴果にたこ焼きを渡すサキ。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
そうっす、タコだけじゃつまんないかと思ったんで!
百井 晴果
百井 晴果
美味しい!
三鳥 奏生
三鳥 奏生
!?チョ、チョコ入ってる。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
いれました!
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
スイーツじゃない。
どうやら面白いものはまだまだ入っている様子だが、

比較的美味しいものばかりが入っていて箸が進んだ。
三鳥 奏生
三鳥 奏生
というか、あの、ヒカル…って?
百井 晴果
百井 晴果
なにか…あだ名ですか?
代田 ヒロ
代田 ヒロ
あー、俺の源氏名っす。ホストの。
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
あらなにやっぱ本名明かしてるの!?
代田 ヒロ
代田 ヒロ
いやいや普通にお隣さんだし!
百井 晴果
百井 晴果
源氏名…!なんかかっこいい。
三鳥 奏生
三鳥 奏生
うん、いいね、ヒカル。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
ちょ、やめてくださいっす、
普通に恥ずかしいんで!!
照れながら腕をブンブンと振るが、

三人はニヤニヤと笑っていた。

珍しくヒロの表の一面が見えるのが嬉しいのだ。

サキも、二人にはこういう感じなのかと親のように微笑んでいた。
城ヶ根 サキ
城ヶ根 サキ
あら、話してあげましょうか?
普段のヒカル。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
わー!!!やめろー!!
冬の夜に、そんな掠れた声が響いていった。

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