流石に疲れていたヒロは、部屋の床でぐっすり眠っていた。
ヒロの話を聞く限り、大変だったお客様や店長のご機嫌だったり、
色々聞いているだけでてんやわんやだった。
さすがに流れで聞いてはいけない内容だったと、晴果は心の中でも謝りまくった。
このとき奏生はふと自分が心のどこかで安心しているのに気付いた。
それがお付き合いの無い経験のことなのか、
はたまた別のものなのかは区別がつかなかったが。
と、布団を飛ばしながらヒロが起きる。
どうやら充電が一瞬切れたみたいだった。
普段ホストとしてここまで気は緩めないのだが、
どうもこの二人だと気が限界まで緩んでしまうようだった。
こうして玄関までお送りしようとすると、
ヒロが手を叩いてバックからごそごそと何かを取り出した。
小さな紙袋に入った丸々とした果実を受け取って、挨拶を交わす。
こうして、秋のドタバタした一日が終わったのだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!