第14話

十三食目
35
2022/04/30 12:44
代田 ヒロ
代田 ヒロ
んぅ……
三鳥 奏生
三鳥 奏生
寝ちゃった…。
流石に疲れていたヒロは、部屋の床でぐっすり眠っていた。
百井 晴果
百井 晴果
三鳥さん、そこの毛布かけてあげてください。
三鳥 奏生
三鳥 奏生
はい、…代田くん、マシンガンみたいに話して寝ちゃいましたね。
百井 晴果
百井 晴果
マシンガン…、ふふ、確かに。
ヒロくんの話は新鮮で面白いですね。
三鳥 奏生
三鳥 奏生
確かに、ちょっと怖い話とか多かったですけどね…。
ヒロの話を聞く限り、大変だったお客様や店長のご機嫌だったり、

色々聞いているだけでてんやわんやだった。
百井 晴果
百井 晴果
確かに…。三鳥さんはそう言った恋愛とかの経験とかありますか?
三鳥 奏生
三鳥 奏生
僕は…むしろ彼女も出来たこと無いです…。なんか、す、すみません。
百井 晴果
百井 晴果
あぁ!いえいえ、こちらこそプライベートな話題でしたね…!
三鳥 奏生
三鳥 奏生
い、いえ!
さすがに流れで聞いてはいけない内容だったと、晴果は心の中でも謝りまくった。
百井 晴果
百井 晴果
えと、じゃあ私にもなんでも聞いてくれて大丈夫ですよ、仕返しに!
三鳥 奏生
三鳥 奏生
し、仕返し…じゃあ、百井さんも…
そういう経験は…ありますか?
百井 晴果
百井 晴果
贅沢なやつと思われてしまうかもしれないですが、告白はあっても…お付き合いまでは行かなかったです。
百井 晴果
百井 晴果
この人となら、と思える人が中々居なくて…。
三鳥 奏生
三鳥 奏生
そうですよね…そう上手く行かない、ですよね。
このとき奏生はふと自分が心のどこかで安心しているのに気付いた。

それがお付き合いの無い経験のことなのか、

はたまた別のものなのかは区別がつかなかったが。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
っは!!!意識飛んでた!!
と、布団を飛ばしながらヒロが起きる。

どうやら充電が一瞬切れたみたいだった。

普段ホストとしてここまで気は緩めないのだが、

どうもこの二人だと気が限界まで緩んでしまうようだった。
百井 晴果
百井 晴果
おはよう、ヒロくん。体調大丈夫?
代田 ヒロ
代田 ヒロ
うす!大丈夫っす!ちょっと寝不足で…
百井 晴果
百井 晴果
え、帰ろうじゃあ。居てほしくないとかじゃなくて、健康のために。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
で、でも、お二人と…
三鳥 奏生
三鳥 奏生
僕はいつでもそこにいるからいつでも呼んで、楽しみにしてる。
百井 晴果
百井 晴果
私も毎日作るのは出来ないけど、
できる限りやるから、ね?
代田 ヒロ
代田 ヒロ
ありがとうございますっ!!
三鳥 奏生
三鳥 奏生
よし、じゃあまた今度。
百井 晴果
百井 晴果
はい、また。
こうして玄関までお送りしようとすると、

ヒロが手を叩いてバックからごそごそと何かを取り出した。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
あ!!お姉さん500円、こちらに!!
百井 晴果
百井 晴果
ふふ、いいのに。
三鳥 奏生
三鳥 奏生
いえ!僕も、確かに。
百井 晴果
百井 晴果
あぁ、ありがとうございます!
三鳥 奏生
三鳥 奏生
あと実は、お出しそびれた柿がここに。もし良ければお裾分けです。はい、代田くんも。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
えぇあざっす!!美味しく頂きます!
百井 晴果
百井 晴果
え!美味しそう…!ありがとうございました!
小さな紙袋に入った丸々とした果実を受け取って、挨拶を交わす。
三鳥 奏生
三鳥 奏生
おやすみなさい。
代田 ヒロ
代田 ヒロ
また!
百井 晴果
百井 晴果
おやすみなさい!
こうして、秋のドタバタした一日が終わったのだった。

プリ小説オーディオドラマ