第74話

HOKUTO.3
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2020/10/21 13:53
優吾side

北斗が救急車に乗ってから、大我は緊張が途切れたのか、ずっと暗い顔で下を向いてる。


だけどその手はしっかりと北斗の手を握ってて、大我の考えてることがなんとなく分かる。


その目には涙が浮かんでて、体も震えてる。

(優吾)大我、大丈夫だから。北斗は絶対大丈夫だから。

気休めにもならないだろうけど、これは俺自身にも言い聞かせてるんだ。


悪い妄想ばかりしちゃうよね、

だっていつもはあんなに元気な北斗が、酸素マスクして点滴に繋がれてるんだよ、、


(大我)っ、はぁ、北斗が、、北斗が死んじゃったらどうしよ、、


(優吾)ばか、北斗が、あの北斗がこんなんで死ぬわけないだろ、、大丈夫。大丈夫だから。


泣いてる大我を落ち着かせて、北斗の手をギュって握る。




しばらくして病院に着いた。


甲殻類を食べてしまったことによるアナフィラキシーショックらしい。

治療をしてもらい、なんとか一命をとりとめたとはいえ、油断は出来ないと言われた。


いつ目を覚ましてくれるんだろ、、


みんなで病室で北斗が起きるのを待つ。


酸素マスクと点滴はまだつけられてて、その姿が痛々しい。



(慎太郎)北斗、、ごめんな。俺らがちゃんとスタッフさんに確認してれば良かった、、グスッ、グスッ


慎太郎なんか泣いちゃってて、


(ジェシー)大丈夫、大丈夫だから。


ジェシーもまた涙目をして慎太郎を慰めてる。


樹はただ静かに北斗の手を離さないで、だけどその目には涙がたまってる。



大我は、、年下のみんなが泣いてるなか、何か我慢してる感じ。


年上だからって泣いちゃいけないって思ってるんだな、、たぶん、、



しばらくして大我が赤い目をして出ていくから、後を追いかけた。


(大我)俺、、はぁ、ちゃんと出来てたかな、、もっとちゃんとしてたら、、



(優吾)何言ってるんだよ、お医者さん言ってたよ?大我が的確に指示してくれたから、北斗は死なずに済んだって。


(大我)そうなの?


(優吾)そー。ね?病室に戻ろ。


その日はみんな北斗の病室で寝ちゃってたみたい。

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