誰かに愛されたい。
そう思ってた。
前までは。
でも今はそんな感情すら、
生まれてこない。
僕がまだ赤ん坊の頃親が交通事故に合った。
僕だけ奇跡的に生きていて、それからは
養子になった。
養親は最悪でろくにご飯もくれず、
小学生の頃には僕を雑用し、
家事を全てやらされ、
気に食わない事があれば暴力をされる。
それだけで精神的にだいぶキツかったのに、
中学に上がりいじめをされるようになった。
理由はずっとマスクだから。
小さい時から暴力をされ、
顔も体もアザだらけ、
養親に「お前の顔を見ていると腹が立つ」
と言われ殴られる。
そんな醜い自分が嫌いで、
学校ではアザを隠すために、
家では殴られないためにずっとマスクをつけている。
今日もか…
ドカッ(お腹を殴る)
ガシッ(髪を掴む)
ドカッ(お腹を殴る)
そうだよね…
僕がいない方がみんな、
幸せなんだよね、
なんだ
早く気がつけばよかった…笑
いなくなっちゃえばいいんだ、
この世から。
僕はバッグからカッターを取り出す。
1度自傷行為を試みたことがあるが、
その時は怖くて出来なかった。
どうせ死ぬんだし、
僕はそっと自分の腕に刃を通した。
傷口からぽたぽたと血が落ちる。
感覚が麻痺していて、
痛みすら分からなくなっていた。
僕はもう一度他の場所に刃を通した。
ガチャ
同じクラスの無口イケメン道枝駿佑だ。
右手にはカッター、左手は傷口
そんな僕を見て同様しない訳が無い。
同様した道枝くんが急いで駆け寄ってくる。
道枝くんは必死に悩んだ末
僕の腕に顔を近づけ
血を舐めてきた。
そう言い放ち僕の手を握って走り出し
僕達は学校を出た。
next…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!