suiさんの「可愛い君が愛おしい!」という歌の世界観をモチーフに書きました
教室に入って、1番に目に入る。
斗亜の隣の席に座る女の子。
「おはよう。」
『 おはよ!』
斗亜に気付くといつも、
太陽みたいな笑顔を向けてくれる。
その表情から始まる1日は、なんだかきらきらしてる。
「あ、課題やってくるの忘れたん?」
照れたようないたずらっ子みたいな顔をする君が、斗亜には眩しく見える。
なんだか最近、眩しい。
斗亜が真剣に授業受けてんのに、
すぐ隣から笑わせてくる。
「またあなたちゃんのせいで怒られた」
『人のせいにしないのー』
不思議と君にはムカつかなくって、
むしろ君の笑顔が斗亜に向けられるんが嬉しいなんて、思ってまう。
お喋り好きでよく笑う、元気いっぱいな君がずるい。
ふと昨日友達が口ずさんでた歌を思い出した。
甘酸っぱいラブソングは、
斗亜にはなんだか大人っぽくてよく分からへん。
それでも甘酸っぱいような恋をしてみたいなって、思ったりもする。
ねぇ、君は…
『斗亜くん、』
静かな教室に、2人きり。
日直の仕事の途中で、いつの間にか寝てた斗亜を起こす
優しい声がかわいい。
寝起きの斗亜とじっと目を合わせてから
ほっぺをピンクにして笑う。
あーもう、
可愛い君が愛おしい。
君の笑顔にいつもやられてるん、君は知らんやろな。
認めちゃうよな、こんなのずるいよ。
席替えなんていらない。
片恋の僕のこんな話。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!