風雅
｢ねーちゃん
こいつどう？｣






学校から帰ってきてすぐ私の部屋に
勢いよく入ってきた弟の風雅から

見せられたのは顔の綺麗な男の子の写真。














｢どうって？｣






















風雅
｢ねーちゃんタイプやろ？
身長高くて優しい顔の人好きって言ってたやん｣














なんていつ口が滑ったのか分からない
ことを言われ、
目を逸らしてしまう。







図星なのがバレたのか私のベットの上でニヤニヤする弟。











風雅
｢彪太郎って言うんやけど、｣

















｢あ、同じグループの？｣

















ジャニーズに興味がないのと風雅が恥ずかしがって見るなと言われているせいで、

弟の所属するグループの知識さえ全然ない。







私が分かるのはメンバーの名前くらいで。



























風雅
｢そうそう。
彪太郎もねーちゃんタイプらしいからさ。
1回会ったげてや。｣




















｢ジャニーズって付き合ったらあかんのちゃうん？｣
















風雅
｢そうでもないで、｣


























なんて確証もないように軽く言う。





















スマホから通知音が聞こえると








風雅
｢それ彪太郎のLINEやから｣













いたずらっぽい顔で逃げるように部屋を出る。





















ため息をついて、またスマホに視線を落とした。


















今度は彪太郎くんからの通知。

































少しドキドキしながら開くと









彪太郎
｢はじめまして、岡﨑彪太郎です！｣














なんてかわいい文章が目に入って困ってしまう。



















彪太郎
｢駅前のカフェでバイトしてるとこ見て…｣

























あー、そういうこと。







































｢風雅の姉のあなたです｣





｢よろしくね｣













































自己紹介がてらお互い自分のことを教えあった。


























歳は2学年違うから

時折あなたさん、なんて慣れない呼び方で呼ばれて胸が高鳴ってしまう。


















これは危ないかもしれないなんて思ってしまっている私がいて。

















彪太郎
｢今度また駅前のカフェ行きます｣
























実際に会ってしまったら本当に…
まずいかもしれない。





































話しているとあっという間に時間が過ぎ、
バイトの時間になっていた。




























バタバタとリビングに出る。











風雅
｢お、どう？いい感じ？｣







微かに赤くなってる気がする顔を隠すようにして玄関に急いだ。

























































































｢あ、｣



































バイト先の前で中を覗き込む男の子。



彪太郎くんかな、

近づいて目が合うときまり悪そうに
上目遣いで見てくるから思わず吹き出してしまう。

























彪太郎
｢あなたさんもしかしたらいるかなって…｣






















だめだ。



かわいい。


























ちょっと傷んでる真っ黒の髪を見て、夏休みだけ染めてたんだろうな、とか
10cm差はあるかもとか

会わないと分からないことをいっぱい見つけてしまって戸惑う。


















｢バイト今からなの。｣














彪太郎
｢僕も入っていいですか｣ 







またまた上目遣いで言われるから
いいよって笑うと嬉しそうにカウンター席に座る。



























いつもより急いでエプロンをつけて
店に出るとなにやら女の子に声をかけられてる彪太郎くん。




















































2組ほどに声をかけられてから、カフェラテを注文してくる。


























｢さっきの子達はお友達？｣












カフェラテをテーブルに置きながら、
自分の口から出た言葉に驚く。











この質問は完全に…








彪太郎
｢ファンの人が気づいてくれたみたいで。｣















急に思い出して何故か切なくなる。

















彪太郎くんはジャニーズで、私の届く相手じゃないんだ、





















え？



私、何考えて…

















彪太郎
｢嫉妬、してくれたんですか？笑｣
























｢そうかも…｣





















彪太郎
｢え、｣


























いつの間にか口に出てしまっていたようで顔が熱い。




































｢ごめん、忘れて？｣













申し訳なくて奥に逃げようとする。















彪太郎
｢忘れられる訳ないです。｣










また新しい表情が見えちゃって。



























彪太郎
｢嫉妬してくれるとか、嬉しいし。


僕、あなたさんのことほんまに好きです。｣




























この子はほんとにいきなりだなって困った顔をすると

















彪太郎
｢バイト終わるまで待ってるんで。

返事はその時に返して下さい。｣






















































もう覚えた彪太郎くんの背中を目で追いかけながら、













返事なんてもう決まってるのになって笑う。





































































2人で帰ってるとこを見られて風雅に質問攻めされるのはまた後のお話。