前の話
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私は今日も学校に行く
いつも通り
変わらない道を通って
いつも通り
百合香ちゃんと話しながら歩く
(ガラッ)
百合香ちゃんは人気者だ
友達もたくさんいる
確かに可愛いし
運動神経抜群だし
勉強も結構できるし
私とは真逆……
同じクラスの優里くんは
ちょっと不思議な子だ
暑い日もいつもパーカーだし
すっごくマイペースだし……
よく居なくなるし……
まぁ、見てて癒されるし、いっか
このように私は
ごく普通の学校生活をおくっている
これが続くと思ってた
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翌日
(ガチャ)
今日も百合香ちゃんいるかなー
いつも待っててくれてるし……
向こう側の道路に百合香ちゃんがいる
ここから名前呼んだら聞こえるかな……?
(ガシャアアアン)
今……百合香ちゃんが……
地域の人が百合香ちゃんを囲んでいる
その隙間からは
赤い液体が見えた
私は走った
怖くて
その場から逃げた
ひかれたのは……
絶対に……あの顔は……
百合香ちゃんだった
(ガラッ)
どうしよう……
ここにいるみんなは知らないの……?
落ち着いてって言われても
とりあえず……言わなきゃ
この話を聞いていた人が騒ぎ出した
汗が……止まらない
(ガラッ)
先生の目は赤かった
これで……確信した
みんなが泣いたタイミングで
私は泣けなかった
気持ちが落ち着いたからだろうか
いや、違う
私はきっと
百合香ちゃんを羨ましいと思っていただけじゃないんだ
きっと、そういう事だ…
私って最低だ……
(ガラッ)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。