ホテルについてから
銀太くんと脇くんはすぐに走って行ってしまった
すると絃歩くんは荷物をヒョイッと持った
そう言って絃歩くんは私の手を握った
満更でもないけど、嬉しそうだったのは俺だけのヒミツ
ガチャ
社長の考慮だろうか、すごく綺麗な部屋を取ってくれた
1泊だけ、でもすごく楽しそう
ベッドはダブルベッドだった
私たちは荷物を置いて部屋をあとにした
ガチャン
ギュッ
自然と繋がれる手
これがやっぱり安心する
トコトコトコトコ
俺たちはレストランに入った
私たちは向き合うように座った
隣には絃歩くんがいる
社長の言葉を初めにみんなたくさん食べたいものを頼んだ
その言葉は私に向けられたものだった
口々に冷やかしてきた
でも今は許せるかな
こんなに幸せな時はなかったから
小さな頃からの夢だった美容系の仕事
家庭環境で諦めたけど
こんな形で叶うとは思わなかった
あの日拾ってくれた絃歩くんや
レペゼン地球に関わらせてくれたメンバーに
感謝しかないよ
ありがとう
そう心の中で思い、それは仕舞っておいた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!