俺は荷物を持って病室に入った
ガラッ
俺は持って来た荷物を引き出しにしまっていった
俺は彼女のそばに座り手を握った
焦りで手は汗にまみれている
俺は動かない彼女を撫で続けた
ガラッ
社長は一度事務所に戻った
また明日来るらしい
それまでは俺が1人でもしっかりしなければ
俺は動かない、返事もしない彼女にずっと話しかけ続けた
俺は彼女からの返事が無くてもずっと声を掛け続けた
俺は寝るべきではない
彼女が目覚めた時俺は起きておかなきゃ
あのとき俺が起きてなかったせいでこうなったんだから
その罪を償えるのは彼女を起きて迎えてあげること
だから俺は辛くても追い込まなきゃいけない
一生消えない傷を負わせた罪は重い
そう自分に言い聞かせた
俺は彼女の髪を撫で、手を握り続けた
時がたつのは長かった
彼女の居ない日々を送る自信はない
だからこそ一日でも早く目覚めるよう
俺は必死で話しかけ続けた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!